血の道症(手足の冷え、疲れ、イライラ等)に芎帰調血飲第一加減

血の道症、月経不順、産後の体力低下に効能がある『芎帰調血飲第一加減』をご紹介します。



まず、血の道症とは
女性ホルモンバランスが大きく変動する月経、妊娠、出産、更年期の時に現れる精神不安、苛立ちなどの精神神経症状、そして身体症状のことを指します。
血の道症が起こる期間は、女性ホルモンの大きな変動が始まる10才くらいから更年期が終了する50代中頃くらいと言われています。(個人差があります)

<血の道症の主な訴え>
・疲れやすい
・イライラや精神不安
・気鬱になる
・むくみやすい
・手足の冷えを感じる
・月経痛
・頭痛
など


漢方では、ホルモンバランスの崩れが体の臓器に影響し、

・胃腸の消化吸収能力の低下で起こるエネルギー不足(気虚)
・血液の量・質(栄養)が不足(血虚)
・血液以外の体液不足(津液不足)

が起こっていると考えます。
これらの不足は、体の巡りも悪くし、血液の抹消循環が悪くなる瘀血や、水分が停滞するむくみなどを引き起こします。また、外からの精神的ストレスは、血の道症の引き金になったり、症状を悪化させます。


芎帰調血飲第一加減は、上述の症状の原因を解決する生薬で構成されています。

血を補い、血液の流れを良くする(養血活血)
当帰、川芎、芍薬、地黄

胃腸を整え、消化吸収を良くする(健脾和胃)
白朮、茯苓、大棗、陳皮、甘草

血の滞りを改善し、血行促進と痛みを止める(活血化瘀)
桃仁、牡丹皮、紅花、益母草、木香、延胡索

気の滞りを改善し、温めて気の巡りを整え、痛みを止める(行気止痛、温通止痛)
烏薬、香附子、枳実、陳皮、木香、延胡索

温め冷えを改善(温陽散寒)
桂皮、生姜

 


2才未満から服用可能な漢方薬ですので、10才からの思春期での血の道症にも服用できます。


お薬を服用するとともに養生をプラスすることで血の道症の症状を緩和できます。
養生法を以下に示します。

体を冷やさない
冷たい食べ物、飲み物を控える

体の代謝を上げる
適度な運動、お風呂は湯船にしっかりつかる

ストレスを溜めない
ストレスがある場合は、抱え込まず、気分転換・発散方法を持つ
(例:信頼する友達・家族にに話す、趣味に没頭、運動で汗を流す)

過度なダイエットはしない
標準体重を目安に痩せすぎない。
1日3回、バランスのとれた食事を摂る

十分な睡眠をとる
年齢に応じた睡眠時間をとる。成人は6時間以上(理想は7時間)
午後11時迄には就寝する

【生理痛】生理痛の原因

生理痛

生理痛の原因はいくつかありますが、当店の相談では以下が多いと感じています。


①冷え
②血液の流れが悪くなっている(血不足、血がドロドロ、ストレス)
③子宮口が狭い(10代の若い方、出産経験の無い方に多い)


因みに上記の原因は、単体よりも重なっていることが多いです。

話は変わり、店頭でお客さんへ


『”生理痛は、ほぼ無い”のが正常です。』


とお話すると驚かれます。

時間は少しかかりますが、漢方薬の服用と養生を継続して実践し、少しの影響では生理痛が起こりにくい体へ戻していくことが大切です。

 


それでは、漢方薬の一例と養生をご紹介していきます。


<漢方薬>


血不足や冷えから血の巡りが悪くなり、生理痛が起こる場合に
(痛みは、1点を針で刺すような痛みと話される方多い)


・婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・折衝飲(せっしょういん)

※折衝飲は、生理痛が起こっている時に対処薬として使います。

 


すでに血の巡りが悪く、水分が停滞し浮腫(むくみ)も伴っている場合の生理痛に


・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

 


月経前にイライラや精神不安があり、便秘を伴っているあ愛の生理痛に


・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

 


※掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談の上、適切な漢方薬を服用してください。

 


<養生>


🔸体を冷やさない
食事:冷たい飲食物を極力避ける
衣服:特にお腹より下を冷やさないよう心がける
風呂:シャワーだけですませず。しっかり湯船につかり体の芯まで温めましょう
空調温度:1年を通して、外気が体を冷やさないよう注意しましょう


🔸食事はバランスよく
偏食、少食による血不足、また、脂っこい物、甘い物、味の濃い物のとりすぎによる血の巡り悪化に注意しましょう。
相談時、体質に併せて適切な食材をご紹介しています。ご相談ください。


🔸長期間のストレスを避ける
長期間ストレスがある方は、適度に発散するなどして、ストレスを溜めないようにしましょう。


🔸適度な運動を心がける
運動は、血を巡らせてくれます。
デスクワークの方は特に運動不足に注意しましょう


🔸十分な睡眠をとる
血を作るには、十分な睡眠が必要です。夜更かしせず、しっかり寝ましょう。

 


生理痛や月経不順の悩みは一人で悩んでいる方が多いという調査結果があります。
一人で悩まず、一度ご相談ください。

 


<注意>
当店で生理痛改善に取り組む際の注意点を以下に記載します。

・長期間の生理痛でお悩みのお客さんには、まず重大な疾患が隠れていないかを病院で検査することをお勧めしています。

・生理痛を改善していく過程は時間がかかります。改善過程で、仕事や生活に支障をきたす痛み発生した時は、一時的に痛み止め(鎮痛剤)を使った方が良いと考えています。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂