夏の土用は脾を大切に


『夏の土用は脾を大切に』

7/19から土用の期間に入っています(^^)
ちなみに今年(2024年)の”土用の丑の日”は7/24と8/5です。
そこで、今回は夏場の脾の養生をお話します。

「なぜ脾の養生?」かというと

古来からある陰陽五行学説で、土用の『土』は、脾(胃腸)のことをさしており、次の季節を迎える前に胃腸を整え、乗り切るための準備をする期間が土用です。

特に夏の土用は、脾(胃腸)を傷めやすいので日頃の養生がとても大切になります。
<養生>


🔶冷たい飲食物、生ものの摂りすぎに注意


🔶冷たい飲み物と一緒に食事をしない


🔶よく噛んで食べる。流し込んで食べない


🔶旬の食材で体を整える


暑さからくる体のほてり(熱)には
スイカ、トマト、ナス、きゅうり、ゴウヤ

消耗した元気や潤いを補う
山芋、じゃがいも、かぼちゃ、れんこん、豆腐、豚肉


🔶腹八分目を心がけ、毎日お通じを
食べ過ぎ(偏食含む)、便秘は、胃腸に熱を溜めます。胃熱といいます。
赤いニキビ、口内炎、口臭が出てきたら胃熱のサインです


🔶冷房で体の冷やし過ぎに注意
下半身が冷えると血流が冷やされます。戻って来る血は最初に胃腸を冷やします。特にデスクワークなどの方はご注意ください。

 


脾(胃腸)の症状が出てしまった場合は、漢方薬の力と養生で早めにケアしましょう。
症状別に漢方薬の一例を示します。

<漢方薬>


◆冷たいものを摂りすぎての急な腹痛
人参湯(にんじんとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう) <ー子供、高齢者


◆冷たい物、水分を摂りすぎての軟便、下痢
イスクラ 健脾散(けんぴさん)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)


◆暑さでの食欲不振
清暑益気湯(せいしょえっきとう)
イスクラ 麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)


◆暴飲暴食での胃の不快感
加味平胃散(かみへいいさん)


◆暴飲暴食、偏食からくる口内炎、歯周炎、口臭
甘露飲(かんろいん)

 


夏の土用の話をしましたが、立春、立夏、立秋、立冬の直前18日間が土用ですので、脾はすべての季節に絡みます。日頃から脾をケアして、1年を元気に健やかに過ごしましょう。


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

暑い時期の足のつり対策


『暑い時期の足のつり対策』

暑くてたくさん汗をかく今の時期、足のつりをどうにかしたいという相談が増えます。
そこで、今回は足のつりへの漢方対策をお話します。


まず、足をよくつるタイミングは、
・運動中
・就寝中
・無理な体勢をとった時
です。


運動中と就寝中は、汗をたくさんかくことにより、筋肉の調節に必要なミネラルなどの栄養分が不足し、筋肉の収縮に異常をきたし、足のつりが起こります。

次に無理な体勢をとった時に足がつりやすいのは、運動不足で筋肉が少なく血行が悪い、または血の不足の方に多いです。筋肉は栄養を含む潤いを蓄え、下肢の筋肉は血流を送り出してくれます。よって、筋肉が少ないと、潤いが少なく、そして血行も悪くなるため、ちょっとした動きで筋肉の収縮に異常をきたし、足がつります。また、血の不足は、筋肉への栄養供給不足を起こすので、同様に足がつりやすくなります。


お客さんからは、


◆スポーツでしているとき、足がつる
大事な勝負(大会)が台無し
楽しいゴルフが台無し

◆眠っているとき、足がつる
睡眠質が下がり、寝不足
疲れが取れない


という切実な声をききます。

それでは、足のつりでお悩みのお客さんへ提案している予防の漢方薬と、足がつってしまったときの漢方薬をご紹介します。

<漢方>


◆足がつる前の予防には


麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)
生脈散(しょうみゃくさん)
味麦地黄丸(みばくじおうがん)


補足)血不足な方は、血を補う漢方薬を提案しています
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
心脾顆粒(しんぴかりゅう)
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)

※補血は、月単位で時間がかかります。日頃から継続したケアが必要です。

 


◆足がつってしまった時、なんとかしたい


芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

※運動や就寝中に足がつるとわかっている方は、芍薬甘草湯を常備しておくと良いですよ。

 


足のつり予防として、養生はかかせません。以下に養生をご紹介します。良かったら実践してみてください。
<養生>


🟧入浴で血行を促進


🟧寝る前のストレッチで筋肉をほぐす


🟧寝る前にコップ一杯の白湯で水分補給


冷たい飲み物は厳禁
ミネラルが入った飲み物で補給もOK(例:スポーツドリンクを薄めるなど)
トイレが近くなるので、自分にあった量に調節してください。


🟧就寝時に足を冷やさない。


例えば、パンツタイプのパジャマで素足をださない


🟧ビタミン、ミネラル、タンパク質など栄養バランスが良い食事をしっかりとる。


十分な栄養で適切に血を補いましょう


🟧適度な運動で、日頃から足に筋肉をつけておく

 


漢方薬と養生を実践していただき、足がつりにくい体づくりを目指しましょう。


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

長引く五十肩を漢方で治そう!!


『長引く五十肩を漢方で治そう!!』

40才以降に多い五十肩。腕を上げたり、衣服の着脱などで肩を動かすときに強い痛みが起こり、非常に不快ですよね(><)。また、治りも遅い(1年以上かかることも)ので、発症すると厄介です。

五十肩は、加齢によって肩周辺の軟部組織(腱、関節包など)が劣化してるところへ、急な負荷がかかることでダメージを受けて起こります。

中医学の視点だと、肩周辺の軟部組織は、瘀血(おけつ)痰湿(たんしつ)が原因で劣化すると考えます。イメージで言うと傷んだ輪ゴムの状態。現代は、デスクワークなどで同じ姿勢を長時間保つため、肩周りの血流が悪く(瘀血)凝り固まり、病的な潤い(痰湿)が溜まり、傷んだ輪ゴム状態になりやすいのです。そこへ、急な動きが起これば、輪ゴムが切れるように、肩周辺の軟部組織が傷つき炎症を起こします。

漢方での対策は、肩周りの血行を良くし、潤いを与えることで柔軟性が低下した軟部組織を改善していきます。漢方薬を使いながら、肩周りの体操を併せて行うことで回復が早まります。
また、生活の中であまり肩を動かしていない40代以降の方は、日頃から肩周りの体操を行うことで、五十肩の予防になります。ぜひ体操を取り入れて見てください。

では、漢方薬の一例を紹介していきます。なお、五十肩の時期や、体質によって漢方薬は変わるので、一度相談していただくことを推奨しております(^^b


<漢方薬>


独活葛根湯(どっかつかっこんとう)
五積散(ごしゃくさん)
独歩顆粒(どっぽかりゅう)
疎経活血湯(そけいかっけつとう)


地竜(じりゅう) <-関節の炎症が強いときは、併用すると良い生薬です。

 


<養生>


五十肩の体操は、NHKの健康番組で紹介しているものを相談時にご紹介しています。
専門の理学療法士さんが監修しているので、信頼できます。


「五十肩  時期で違う!おすすめの運動療法」
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1420.html


【補足】
昔、中医師の先生に太極拳は、肩を動かすため、五十肩の予防になると聞きました。五十肩の痛みがある時は、控えた方がよいですが、予防でなら太極拳をオススメします。

 


五十肩を含む関節痛は、今のような湿度が高い時期や寒い時期に相談が増えるため、今回取り上げました。上述していますが、五十肩になる前の予防が最善です(^^b。日頃から、肩を動かしていきましょう(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂