頭痛(外感頭痛)

頭痛には、外から影響を受ける外感頭痛
体内の臓腑の失調による内傷頭痛があります。

ここでは、外感頭痛についてお話します。


<外感頭痛>


外感頭痛は、外の環境を感受して起こる頭痛です。
寒さ、熱さ、湿(淀みを持つ粘り気のある水のイメージ)が影響する3つのタイプがあります。

 


1)寒による頭痛
寒さで血管の凝縮、気血の滞りが生じます。不通則痛といって、通じざれば即ち痛みが起こります。
カゼによる頭痛も含み、寒さ(寒邪)が風邪と伴って体に入ります。
寒による頭痛の痛みは、強いのが特徴です。

<漢方での対応>
体を温め、寒さを散らす漢方薬を用いて頭痛を治していきます。
カゼを伴う場合は、辛温解表といって、体を温めて汗で風邪を外へ追い出す漢方薬も一緒に用います。


漢方薬の一例)
頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう)
葛根湯(かっこんとう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

 


2)熱による頭痛
熱が頭へ上昇し、熱感を持つ、張ったような頭痛が起こります。
熱カゼによる頭痛も含み、熱(熱邪)が風邪と伴って体に入ります。

<漢方での対応>
熱を冷ます(清熱)作用をもった漢方薬を用いて頭痛を治していきます。
熱カゼの場合は、ウイルスや細菌が活発になっていることが多く、清熱解毒という効果をもった漢方薬を使い、熱毒(ウイルスや細菌)を消退させ熱を冷まします。
そして、辛涼解表といって、体表から熱を出して冷ます漢方薬も一緒に用います


漢方薬の一例)
涼解楽T(りょうかいらく)
金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)

 


3)湿による頭痛
淀みを持つ粘り気のある水である湿が頭を包み込むと、頭が重く締めつけられたような頭痛を起こします。
梅雨時、夏場などの湿気が多い季節のカゼでも、湿による頭痛が現れます。

<漢方での対応>
去湿、化湿といって、湿を汗や尿などで排泄する漢方薬を用いて頭痛を治していきます。


漢方薬の一例)
勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
藿香正気散(かっこうしょうきさん)

 


秋、冬のカゼ時期は、1)または2)、どちらの頭痛タイプかを見極めることが大事です。
使う漢方薬の選択を誤ると症状が悪化することもあります。


お店でお薬を購入する時は、薬剤師、登録販売者に症状を説明して選んでもらうと良いですよ

風邪症状への対応と漢方薬

🔶感冒初期🔶
風邪の引き始めは、発熱、悪寒、咳、咽頭痛など複数の症状が同時に起こってくることが多いです。

漢方では複数の症状から風邪のタイプを見極めて漢方薬を使い分けます。
イメージしやすいように赤いカゼ青いカゼ黄色いカゼの3タイプに分けて説明していきます。


◎青いカゼ
<特徴的な症状>
ぞくぞくと悪寒がする、発熱(汗は出ていない)、頭痛、咳


このような時は、身体を温めて、汗を出させて外にカゼを追い出す漢方薬を使います。


漢方薬の一例)
葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)


<服用のポイント>
症状がでたら速やかに服用。


但し、次の注意をご留意ください。
※インフルエンザの流行期で、急な高熱と四肢の関節の痛み等がありましたら、まず病院へ行きましょう。
※小さな子どもの場合(小学校低学年くらいまで)、38℃以上の熱が数時間以上続くようなら、病院へ行きましょう。熱けいれん等で非常に危ない容態になる可能性もあるためです。

 


◎赤いカゼ
<特徴的な症状>
熱っぽい(発熱)、のどが腫れる痛む、頭痛、咳


このような時には、消炎抗菌作用をもつ漢方薬を使います。


漢方薬の一例)
涼解楽T(りょうかいらく)
金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)


<服用のポイント>
症状がでたら速やかに服用。

 


◎黄色いカゼ
<特徴的な症状>
悪心、吐き気、嘔吐、発熱、下痢、倦怠感


いわゆるお腹の風邪や夏風邪と呼ぶような時です。制吐作用、清熱解毒作用の生薬を含む漢方薬を使います。


漢方薬の一例)
勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
藿香正気散(かっこうしょうきさん)


<服用のポイント>
症状がでたら速やかに服用。


感冒初期3タイプの漢方薬一例を示しましたが、強くでている症状によってはプラスした方が良い漢方薬も以下に示します。


・咳が強い時
麻杏止咳顆粒(まきょうしがいかりゅう)
一風飲 せき止め(いっぷういんせきどめ)


・頭痛がひどい時
頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう)


・透明な鼻水が多い時
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)


・黄色っぽいネバネバした鼻水、痰が多い時
鼻淵丸(びえんがん)
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
桔梗石膏(ききょうせっこう)

 

 


🔶感冒中期以降🔶
カゼを引いてから4日以上たってくると、寒気・熱が残っていたり、悪寒発熱を繰り返したり、食欲がなかったり、倦怠感があったりしてきます。


このような時に使う漢方薬の一例を示します。
小柴胡湯(しょうさいことう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
参蘇飲(じんそいん)


但し、カゼが長引いてくると、咳がなかなか治まらない、体力低下してきたなどの状態によって、漢方薬を足したり、変えたりと対応が変わってきます。カゼが長引いた時は、漢方の専門知識を有する医師、薬剤師、登録販売者へ相談することをお勧めします。


カゼは万病のもとです。本ページを参考にしていただき、自分や家族にあう漢方薬を常備し、カゼを引いた時に速やかに対応していただけると幸いです。


熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

ひ_疲労

<疲労(疲れ)>


疲労、疲れの相談は1年を通して多く、疲れから訴える症状も様々です。相談で聞く疲れに関連する症状を以下に挙げてみました。


<疲れに関連する症状>
だるい、動きたくない、やる気が起きない、朝起きれない、話すことが億劫、考えがまとまらない、集中力が上がらない、凡ミスを連発する、食欲がなくなり食べる気がしない、胃もたれしやすくなった、眼がかすんでくる、ふらふらめまいがする、食後とても眠くなる、冷えやすい、すぐに動けなくなる等


よく相談で「栄養ドリンク、エナジードリンクを飲むと、シャキっとして疲れがとれます」とお話される方がいます。この場合、疲労感を無くしているだけで、体の疲労はとれていないです


一般的に、疲労を回復するには一週間程度の休養が必要です。十分な睡眠とバランスの良い食事、そして規則正しい生活を行った休養で疲労は回復します。

 


<漢方での疲労への対応>

次に漢方では、疲労に対して、どのように対応するかをお話します。
疲労は様々な要素があいまって、体へ負担をかけることによって起こっています。よって、まず仕事や生活習慣(食事、睡眠、お通じ)、体重の変化、体質などをしっかりお聞きします。そして、症状を踏まえて回復の道筋を考えていきます。
対応は人によって千差万別で、色々は回復の道筋がありますので、漢方薬の一例を以下に示します。


一時的に忙しい労働、運動などで肉体的、精神的な疲労の場合
漢方薬の一例)
イスクラ 麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)
イスクラ 補中丸(ほちゅうがん)
律鼓心(りっこしん)
能活精(のうかっせい) <-頭脳労働で疲れる時


◎仕事等の忙しさが長引き、慢性的な疲労の場合
漢方薬の一例)
食欲が落ちているなら イスクラ健胃顆粒+瓊玉膏 or 麦味参顆粒
集中力低下なら    能活精(のうかっせい)
ふらふら貧血気味   婦宝当帰膠
貧血症状がより強ければ 婦宝当帰膠 + 参茸補血丸 or 心脾顆粒
体力低下なら     瓊玉膏、霊鹿参
疲れて眠れない    心脾顆粒、酸棗仁湯顆粒

 


<疲れへの養生法>

次に疲労への養生をお話します。養生はとても大切で漢方薬と合わせることで回復スピードを早めます。


1)規則正しい生活をする
2)朝日や木漏れ日を適度に浴びる
3)昼食後、可能であれば10~20分程度の仮眠をとる
4)胃に負担をかける甘い物、脂っこい物、味の濃い物は程々に、消化の良い物を腹八分目で食べる
5)冷たい飲食物は極力避ける。体温より温かい物を食べる
6)日付が変わる前に就寝。理想は23時頃就寝し、7時間ほどの睡眠時間を確保する
7)疲れているからといって、ずっと座ったり、寝ているのはNG。適度に体を動かす。
8)お風呂は湯船につかり体全体を温める

挙げた8つの養生をいきなり実践するのは困難です。まずは、4)、5)、6)を優先して行ってみてください。


上記の漢方薬と養生で、疲労症状の回復、または疲れない体作りの助けになれば幸いです。そして、元気で健やかに毎日が過ごせることを願っています。

 


※注意
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

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