胃の不調(機能性ディスペプシア)は漢方で治そう


『胃の不調(機能性ディスペプシア)は漢方で治そう』

病院の検査で異常(病変)は見られないが、胃のもたれ、膨満感、食欲不振、吐き気、胃痛などの胃腸症状を訴える相談は多いです。

機能性ディスペプシアとも呼ばれ、生活習慣や体質が相まって原因は様々で複雑です。
こんな時は、体質などを鑑みて薬を決める漢方がお役に立てます。

以下に機能性ディスペプシアで使われる、漢方薬の一例を示します。

<漢方薬>


🔷胃のもたれ、膨満感

六君子湯(りっくんしとう)
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
加味平胃散(かみへいいさん)

 


🔷冷えからきている胃痛


・下痢を伴う
人参湯(にんじんとう)
附子理中湯(ぶしりちゅうとう)


・お腹の中が動いている感じが伴う
大建中湯(だいけんちゅうとう)


・子供(中学生くらいまで)の胃痛
小建中湯(しょうけんちゅうとう)

 


🔷食欲がなく、食べるとすぐに下痢をする

参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)

 


🔷ストレスからくる腹痛

柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)

 


🔷疲れからくる胃痛

黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)

 


ご紹介した漢方薬を服用しながら、次に示す養生を実践していくことで、回復が早まり、また胃腸不調を起こしにくい体作りができます。

<養生>


🔸お腹が空いてから食べる
消化の良い、温かい物をよく噛んで食べる

🔸冷たい飲食物を避ける

🔸食べてすぐに寝ない
夕食から就寝までの時間を3時間以上あける

🔸間食を控える(特に夜の間食)

🔸体を冷やさない

🔸十分な休息

 


機能性ディスペプシアは、体質と様々な要因が絡み、漢方薬の選びは難しいかもしれません。購入時は、漢方の専門家へ相談することをお勧めします(^^b

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

漢方でスッキリ便秘解消!!


『漢方で便秘解消!!』

一年を通して相談を受ける便秘。
この暑い時期は、大量の発汗で水分バランスが急激に崩れ、腸管の潤い不足からくる便秘というのが多発します。

さて今回は、この潤い不足も含み、便秘の大きな要因3つをご紹介し、その要因ごとに対策の漢方薬、養生をご紹介します。

 


<要因1>
夏に多い潤い不足による便秘


暑い時期、体内に熱がたまるため、大量の発汗で体温を下げようとします。この急激な水分減少で、血中の水分量も急激に減ります。
この時、血中の水分を維持しようと、優先的に血中へ水分集めますので、腸管などは潤いが減少し、便秘しやすくなります。


漢方薬
便秘予防は、日頃から補陰の生薬を含む漢方薬で体内の潤いを保つことで、急激な水分変化をなくし、便秘になりにくい体作りを目指します。

麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう) <ー便秘予防
調胃承気湯(ちょういじょうきとう) <-便秘になってしまった時


養生
🔸こまめな水分補給
🔸冷房などで急激に身体を冷やさず、程よく汗をかかせて体の熱を放熱させる
汗腺が閉じて、身体の中に熱がとどまり、その熱で水分が減少し便秘を招くため。

 


<要因2>
血不足による乾燥の便秘


血によって体中に潤いを運ばれます。血の量が減れば、腸管内の潤いが減り、腸管への栄養も不足するため働きも低下し、便秘を招きます。


漢方薬
便秘予防は、日頃から補血の生薬を含む漢方薬で血を補うことで、便秘になりにくい体作りを目指します。

婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう) <ー便秘予防
参茸補血丸(さんじょうほけつがん) <ー便秘予防
心脾顆粒(しんぴかりゅう) <ー便秘予防
潤腸丸(じゅんちょうがん) <-便秘になってしまった時


養生
日頃から補血の生活習慣を実践し、血不足を解消しておく

🔸バランスの良い食事
タンパク質、ミネラル、ビタミンなどをバランスよく取る
🔸朝、昼の食事をしっかりとる
🔸冷たい飲み物と一緒に食事をしない
🔸十分な睡眠を取る
🔸適度な運動で体に筋肉をつける

 


<要因3>
ストレスによる便秘


仕事や旅行などで環境が変わるなどでストレスを受けると、気の巡りが滞ります。
気滞と呼びます。気の巡りは、自律神経と深く関係しており、腸の働きが悪くなり便秘になります。


漢方薬
便秘予防は、日頃から気を巡らす生薬を含む漢方薬で気滞を改善することで、便秘になりにくい体作りを目指します。

逍遙顆粒(しょうようかりゅう) <ー便秘予防
四逆散(しぎゃくさん) <ー便秘予防
桃核承気湯(とうかくじょうきとう) <-便秘になってしまった時


養生
🔸上手にストレスを発散する
趣味・スポーツに没頭、信頼のおける友達とおしゃべり、アロマ
🔸深い深呼吸で自律神経を整える
🔸食事に香草野菜を摂り入れ、気のめぐりを整える

 


上記、便秘の方の大半が該当すると思います。
自分の要因がわかったら、養生、漢方薬で便秘を解消しましょう。
スッキリお通じが健康の第一歩です(^^b

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

腹痛(胃痛)


腹痛(胃痛)は、原因が1つではなく重なっていたり、下痢、吐き気などの症状を伴ったりと複雑です。
原因は様々ですが、ここでは、相談でよくある4つの原因に絞って、腹痛が生じる機序を説明し、対応する漢方薬の一例をご紹介します。


1)冷え
2)瘀血
3)気の滞り
4)水の代謝が悪い

 


1)冷えからくる腹痛


冷えの腹痛は、2つに分けて考えることが多いです。


1つ目は、冬の寒い時期や夏場のクーラー、冷たい飲食物の摂りすぎなどで体に冷えが入り込み腹痛が起こる場合です。
急性で痛みが強い腹痛であることが特徴です。


<漢方薬>
附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
人参湯(にんじんとう)
大建中湯(だいけんちゅうとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)


(補足)
外からの寒邪が原因の場合は、散寒と言って体内の寒さを散らす薬を用いて痛みを緩和していきます。また、冷たい飲食物によって脾胃が湿も伴っている場合は、去湿といって湿を取り去る薬も用いて、痛みの原因を取り除きます。


2つ目は、過度な疲れ、長期間の病気等で体が弱ってしまい、体内の温める力(温煦作用)が弱まり、冷えが生じて腹痛が起こります。
繰り返し起こる腹痛であることが特徴です。


<漢方薬>
健胃顆粒(けんいかりゅう)
人参湯(にんじんとう)
大建中湯(だいけんちゅうとう)
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)


(補足)
体が弱り冷えを生じての腹痛は、温裏散寒といって、温めて寒さを散らす薬を用いて、痛みを緩和させます。そして、補気健脾といって、元気を作り出す元となる脾胃を立て直す薬を用いて、腹痛が起こりにくい体へ持っていきます。

 


2)瘀血からくる腹痛(主に生理痛)


生活習慣の悪化、長期化した病などがあると、血に熱をもったり、血を送り出す力が弱くなったり、血の量が不足したりして、血の停滞/巡りが悪くなる状態(瘀血:おけつ)を生じます。
血の巡りが悪くなり、血が行き渡らないと痛みが起こります。
この痛みは部位が固定して、刺すような痛みが特徴です。
生理痛は、瘀血が主な原因であることが多いです。


<漢方薬>
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
折衝飲(せっしょういん)


(補足)
活血化瘀と言って瘀血を解消すると共に、熱があれば熱を取り去る薬、血が少なくなっていれば血を補う薬、血を動かす力が不足していれば気血を巡らす薬と、体の状態に合わせて漢方薬を使い分けて、痛みを緩和し、腹痛が起こりにくい体へしていきます。

 


3)ストレスなどからくる腹痛


ストレス、強い緊張などがあると体の気の巡りが悪くなります。気は血を動かす推動力でもあるので、血の巡りも悪くなります。

気血の巡りが悪化、停滞すると、脾胃の機能失調をおこし、痛みが発生します。張ったような腹痛が生じるのが特徴です。


<漢方薬>
開気丸(かいきがん)
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
柴芍六君子湯(さいしゃくりっくんしとう)
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)


(補足)
気の巡りを良くするお薬を用い、痛みを取り除いていきます。ストレスにより脾胃も傷んでいる場合は、脾胃の機能を立て直す薬も使います。また、気の停滞により脾胃に熱、湿が発生している場合は、それらを取り去る薬を用いることがあります。

 


4)水の代謝の悪化による腹痛


冷たくなくても過度に飲み物を摂取したりすると、胃腸機能が低下し、水がさばけず、腹痛が発生します。急性で、下痢を伴うのが特徴です。


<漢方薬>
加味平胃散(かみへいいさん)
五苓散(ごれいさん)
藿香正気散(かっこうしょうきさん)


(補足)
水をさばく作用(利水作用)のある薬を用い、原因のもとである水を取り除くとともに、多量の水分によって、湿・冷えが生じている場合は、それらを取り除く薬も用いて腹痛を改善していきます。

 


<注意>
長く腹痛が続いていたり、痛みが強くなっている場合は、病院での検査を推奨しています。
漢方での対応も有効ですが、検査結果次第では、西洋治療と漢方を併用することで治りが早い場合があります。