関節痛(膝、腰、肩など)


<<関節痛>>


関節痛は、次の4つに着目し、原因を見極めて対応することが多いです。


1)血の不足
2)血と水の滞り
3)筋(スジ)・骨・筋肉の弱り
4)風邪、寒邪、湿邪の侵襲


1)~4)に関して説明します。


1)血の不足
胃腸虚弱、食欲不振、偏食、無理なダイエット等が元にあり、栄養を十分に得ることができず、血を必要分作れないようになり、血の量が減少し、栄養を巡らせることができなくなっている状態


2)血と水の滞り
肥甘厚味(ひかんこうみ)と言って、脂物、甘い物、味の濃い物の食べ過ぎで、血・水が濁り、巡りが悪くなり滞ってしまう状態。運動不足でも血・水の巡りが悪くなり滞ってしまうことがあります。また、1)の血不足で血が少ないと滞りが生じます。


3)筋(スジ)・骨・筋肉の弱り
1)または2)が長く続き、筋・骨・筋肉が弱りだした状態

余談ですが、筋(スジ)は『肝』※1、骨は『腎』※2、筋肉は『脾』※3に深く関係すると考えます。


※1『肝』は、全身の筋を養っており、肝の血が不足すると筋の疾患が起こります
※2『腎』は、人体の成長・発育・生殖にかかわる腎精という物を貯蔵し、腎精が髄に変化し骨を養います。よって腎精が不足すると骨の疾患が起こります
※3『脾』は、胃腸の消化吸収を担い、胃腸から栄養を摂り入れることができないと、十分な筋肉が作れないなどが起こります


4)風邪、寒邪、湿邪の侵襲
外から体に影響を及ぼすものを外邪と言います。特に関節痛へ影響するのは、風邪、寒邪、湿邪です。例えば風邪であればカゼを引いて関節が痛む。寒邪であれば寒くなると膝が痛む。湿邪であれば雨に濡れた後、または梅雨時期に関節が痛むなどです。

 


<<漢方でのアプローチ>>

上記、4つのポイントを踏まえて、次の特徴を持つ漢方薬を組み合わせて関節痛へ対応していくことが多いです。


健脾益気・・・弱った胃腸を元気に
活血養血・・・血を補い、滞りを無くす
補肝益腎・・・弱った肝と腎を元気に
通絡・・・・・塞がった経絡を通す※4
去風寒湿邪・・関節を痛める原因である風寒湿邪を取り除く


※4『経絡』は、人体の中の気(エネルギー)・血・体液などの生きるために必要な物が流れる通路


経験則ですが、関節痛は1つの原因ではなく、複数の原因が重なっています。よって、その人にあわせてベースで使用する漢方薬や、併用する漢方薬は変わります。

 


<<漢方薬の使用例>>
当店での関節痛相談でベースとして使用した漢方薬例をいくつかご紹介します。


・冷えると腰、膝の関節が痛みだす。主に下半身の関節痛
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)


・冷えると肩、首のあたり、肘、手首の関節が痛みだす。主に上半身の関節痛
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)


・加齢に伴い腰、膝の関節が痛む。屈伸が困難である
独歩顆粒(どっぽかりゅう)、五積散(ごしゃくさん)


・関節のむくみ、筋肉のひきつりがあったりして(血と水の巡りが悪い)、関節が痛む
疎経活血湯(そけいかっけつとう)


・肩が痛くて肩が上がらない(五十肩)
独活葛根湯(どっかつかっこんとう)

 


<<回復にどれくらい期間が必要か>>
冷えだけ等の軽度な関節痛であれば、日単位で症状は回復に向かうことが多いです。次に、筋肉が落ちただけ等の中度な関節痛であれば、週単位または月単位で症状は回復に向かいます。骨や筋がひどく弱っている場合は、半年または年単位でかかる場合があります。

但し、軟骨が全く無くなっているなどの関節痛は、漢方薬で対応が困難な場合もございます。お店で状況をお聞かせください。

 


相談では、関節痛の期間、痛みの度合い、体質、生活習慣などをしっかりお聞きし、原因を見極め、あなたにあう漢方薬を提案します。ぜひ、ご相談ください(^^)

 


※注意
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

漢方で花粉症対策

<漢方で花粉症対策>


花粉症は、花粉などのアレルギー物質が鼻腔などの粘膜に付着することにより、強いアレルギー反応が引き起こされ、鼻水、鼻詰まり、クシャミ、目のかゆみ、目の充血などの症状がでてきます。病院へ受診すると抗アレルギー剤や目薬で対応することが多いですね。

 


では、本題の漢方ではどのように対応していくかをお話しします。
花粉症の症状は、免疫の暴走ですので、免疫調整力が弱っています。免疫調整力は、漢方では衛気(えき)というものが担います。衛気とは、体の外から侵入する邪気(花粉など)から守るバリア機能とイメージしてください。衛気が弱っていると花粉症の症状が出てきますので、衛気をケアすることが漢方でのベースとなります。



よって、花粉症対策としては
症状が出ている場合は、衛気を高める漢方薬養生を行いながら、症状に合わせた漢方薬を使っていきます。花粉症予防では、衛気を高める漢方薬の服用と養生での体質改善を行っていきます。
それでは、ケース別に使用する漢方薬と養生を示します。


<花粉症の症状がすでにでている場合>
症状にあわせて抗炎症、抗アレルギー作用などを持つ漢方薬と衛気を高める漢方薬で対応します。


🔹透明な鼻水がスタスタでてくる、くしゃみが頻発する、鼻炎
漢方薬の一例)
イスクラ衛益顆粒(えいえきかりゅう)
麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)エキス細粒(コタロー)
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
など


🔹鼻水が黄色い、目の奥が鈍痛する、鼻炎
漢方薬の一例)
イスクラ衛益顆粒(えいえきかりゅう)
麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)エキス細粒(コタロー)
精華 鼻淵丸(せいか びえんがん)
など


🔹目のかゆみ、充血
漢方薬の一例)
イスクラ衛益顆粒(えいえきかりゅう)
消風散(しょうふうさん)エキス細粒(コタロー)
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)エキス細粒(コタロー)
など

 


<未病先防の体質改善として>
黄耆(おうぎ)という生薬を中心にした漢方薬を使って衛気(バリア機能)を高める体質改善行います。毎年花粉症に悩まされる方は、お正月くらいから以下の漢方薬を服用して体質改善を図ると花粉症シーズンを楽に過ごせます。


漢方薬の一例)
イスクラ衛益顆粒(えいえきかりゅう)
桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)エキス細粒(コタロー)
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)エキス細粒(コタロー)
など

 


<花粉症の養生>


・冷たい飲食物、なま物は極力さける
・温かい、消化の良い食べ物を腹八分目で摂る(暴飲暴食禁止)
・食事内容はバランスよく。食物繊維、発酵食品を摂りましょう。
・寝る3時間前から間食は避ける
・十分な睡眠時間をとる。日付が変わる前には就寝。夜更かししない
・体を冷やさない。寒い環境では衣服、カイロなどでしっかり防寒を心がける
・毎日のお通じがあるよう整える


養生は、予防または治療中のどちらにも有効ですので、実践されることをオススメします。

 


本ページをご覧になっていただき、少しでも花粉症が軽減し、健やかに生活できる手助けになれば幸いです(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

頭痛(外感頭痛)

頭痛には、外から影響を受ける外感頭痛
体内の臓腑の失調による内傷頭痛があります。

ここでは、外感頭痛についてお話します。


<外感頭痛>


外感頭痛は、外の環境を感受して起こる頭痛です。
寒さ、熱さ、湿(淀みを持つ粘り気のある水のイメージ)が影響する3つのタイプがあります。

 


1)寒による頭痛
寒さで血管の凝縮、気血の滞りが生じます。不通則痛といって、通じざれば即ち痛みが起こります。
カゼによる頭痛も含み、寒さ(寒邪)が風邪と伴って体に入ります。
寒による頭痛の痛みは、強いのが特徴です。

<漢方での対応>
体を温め、寒さを散らす漢方薬を用いて頭痛を治していきます。
カゼを伴う場合は、辛温解表といって、体を温めて汗で風邪を外へ追い出す漢方薬も一緒に用います。


漢方薬の一例)
頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう)
葛根湯(かっこんとう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

 


2)熱による頭痛
熱が頭へ上昇し、熱感を持つ、張ったような頭痛が起こります。
熱カゼによる頭痛も含み、熱(熱邪)が風邪と伴って体に入ります。

<漢方での対応>
熱を冷ます(清熱)作用をもった漢方薬を用いて頭痛を治していきます。
熱カゼの場合は、ウイルスや細菌が活発になっていることが多く、清熱解毒という効果をもった漢方薬を使い、熱毒(ウイルスや細菌)を消退させ熱を冷まします。
そして、辛涼解表といって、体表から熱を出して冷ます漢方薬も一緒に用います


漢方薬の一例)
涼解楽T(りょうかいらく)
金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)

 


3)湿による頭痛
淀みを持つ粘り気のある水である湿が頭を包み込むと、頭が重く締めつけられたような頭痛を起こします。
梅雨時、夏場などの湿気が多い季節のカゼでも、湿による頭痛が現れます。

<漢方での対応>
去湿、化湿といって、湿を汗や尿などで排泄する漢方薬を用いて頭痛を治していきます。


漢方薬の一例)
勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
藿香正気散(かっこうしょうきさん)

 


秋、冬のカゼ時期は、1)または2)、どちらの頭痛タイプかを見極めることが大事です。
使う漢方薬の選択を誤ると症状が悪化することもあります。


お店でお薬を購入する時は、薬剤師、登録販売者に症状を説明して選んでもらうと良いですよ