春の不眠


<春の不眠>


環境が変わることも起因するのかもしれませんが、春に不眠のご相談は多いです。
不眠と言っても大きく分けて、寝付きが悪い(入眠障害)、何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早く目がさめる(早朝覚醒)があります。


また原因は様々で、複数の要因が重なっていることがほとんどです。漢方は、西洋薬のように直接脳の活動を抑えて眠らせるのではありません。原因である身体の弱りを見極めて、漢方薬と養生で弱った部分を立て直すことによって、眠れる体に持っていきます。そのため、原因によって回復期間は数日~数ヶ月と幅は広くなります。


それでは、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒のタイプ別に代表例とそれに合う漢方薬をご紹介します。


<入眠障害>


ストレスの場合
ストレスでイライラが過ぎると気の巡りが滞ります。気の停滞は熱を生み、それが頭に上り熱がこもり入眠を妨げます。気を巡らし、熱が上がらないようにする漢方薬で自然な眠りを目指します。


【漢方薬の一例】
イスクラ逍遙顆粒(しょうようかりゅう)
イスクラ酸棗仁湯顆粒(さんそうにんとうかりゅう)
イスクラ温胆湯(うんたんとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)


【養生】
・柑橘系の果物、香草野菜などを摂り、気の巡りをよくする
・ハーブティーやアロマでリラックスする
・運動、音楽を聴く、趣味や好きなことに没頭、気の合う友だちとおしゃべりなどで上手にストレスを解消する


頭の使い過ぎなどの場合
脳が興奮状態で熱を持ち、寝付きが悪くなっているため、クールダウンさせる漢方薬を使います。


【漢方薬の一例】
イスクラ 酸棗仁湯顆粒(さんそうにんとうかりゅう)
羚羊角を主薬とした漢方薬


【養生】
・寝る1時間前に脳が興奮することは避ける(スマホ、動画視聴、ゲーム等)
・ハーブティーやアロマでリラックスする

 


<中途覚醒>


眠りが浅く、夢をたくさん見るの特徴です。何度も目が覚めるため、朝、疲れが残っていると訴える方が多いです。


血が不足している場合
考え過ぎ、悩み過ぎで脾(胃腸)を傷め、栄養吸収が少ないため血不足になり、血が少ないため脳を養えずに眠りが浅いということがあります。また、女性の場合、脾を傷めると血管に血をとどめておく力が弱くなるため、生理時に出血過多で血不足が生じ、中途覚醒になることもあります。
脾をケアしながら、血を補う漢方薬で眠りの回復を目指します。


【漢方薬の一例】
イスクラ 心脾顆粒(しんぴかりゅう)
イスクラ 婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)
イスクラ 参茸補血丸(さんじょうほけつがん)


【養生】
・消化の良い、温かい食べ物を腹八分目で食べて胃腸をケア
・よく噛んで食べる
・冷たい飲食物は控える
・趣味や好きなことに没頭、気の合う友だちとおしゃべりなどでクヨクヨ考えないようにする
・過労は避ける


痰湿(病理的な水)による場合
暴飲暴食、偏食(脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎ)、お酒の飲み過ぎたりすると”痰湿”という病理的な水が体に溜まりやがて熱を持ちます。その熱が上がり、頭にこもるため眠りが浅くなります。痰湿と熱を取り除く漢方薬を使い、眠れるよう体を整えていきます。


【漢方薬の一例】
イスクラ 温胆湯(うんたんとう)
イスクラ 瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)


【養生】
・消化の良い、温かい食べ物を腹八分目で食べて胃腸をケア
・脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎない
・冷たい飲食物は控える
・よく噛んで食べる
・少し息があがる程度の運動をする
・夕食と寝るまでの時間を4時間以上あける

 


早朝覚醒


老化と密接に関わる腎の弱りが原因です。潤いの源である腎が弱ると熱を冷ますことができなくなり、持続して頭をクールダウンさせて置くことができず、早く目覚めてしまいます。早朝覚醒は、ご年配の方に多いです。腎を補い、潤いを戻してあげる漢方薬を使い、しっかり眠れることを目指します。


【漢方薬の一例】
イスクラ 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
イスクラ 天王補心丹(てんのうほしんたん)
瓊玉膏(けいぎょくこう)
亀板を主薬にした漢方薬


【養生】
・消化の良い、温かい食べ物を腹八分目で食べて胃腸をケア
・脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎない
・冷たい飲食物は控える
・体を冷やさない
・過労は避ける

 


以上が不眠タイプ別の漢方と養生法です。タイプは違いますが、養生は共通することが多いです。特に食べるタイミング、食べ方、食べ物の種類、食べる量の養生を守ると質の良い眠りが得られやすくなります。

ご参考にして頂き、良い睡眠の助けになれば幸いです(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。


熊本 菊陽町 菜の花漢方堂