1)手足の冷え

1)手足の冷え


<原因>


体の中心が少し冷えることにより、手足での熱発散を必要としないために起こっている冷えです。体の中心が少し冷える原因は様々です。


・食べる量が少ない
・食べても消化不良等で栄養が十分吸収できていない
・脂物、甘い物、味の濃い物の食べ過ぎで血の巡りが悪い
・大病後で体力が著しく低下している
・長年の運動不足で体の代謝能力が落ちている
・加齢

 


<漢方薬の一例>


手足の冷えを改善するために使う漢方薬の一例を示します。
まず、上記原因により気(エネルギー)や血が不足し冷えを生じていますので、気血を補い温めることをベースにします。
漢方薬の一例:「瓊玉膏(けいぎょくこう)」、「婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)」、「麦味参顆粒」

そして、各個人の体質、状態によって、補助する漢方薬を併用します。
例えば、
胃腸虚弱の場合は
「イスクラ健胃顆粒S(けんいさんかりゅう)」「イスクラ健脾散エキス顆粒(けんぴさんえきすかりゅう)」「理中湯(りちゅうとう)」

血の巡りが悪い場合は、
「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」「芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)」

 


<養生>


次に養生を示します。
・食事は温かい、消化の良い物を腹八分目で摂る
(腹いっぱい沢山の量を食べると消化力が落ち、逆効果です)
・冷たい飲食物は避ける
・脂物、甘い物、味の濃い物は少なめに
・体力が落ちている人は、無理せず、十分な睡眠をとる
・運動不足の方は、適度な運動で筋肉をつける

 


※注意
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を服用してください。

冷え性

冷え性の相談は、秋冬だけが多いと思われがちですが、一年を通して相談がある症状です。
冷えにも色々あります。相談を受けていて多いのは


1)手足の冷え
2)下半身の冷え
3)お腹あたりの冷え
4)体全体の冷え


です。この主な4つの冷え症状に対しての発生原因、及びよく使う漢方薬の一例や養生をお話します。

各症状ごとにリンクを張っていますので、クリックしてご参照ください。

血の道症(手足の冷え、疲れ、イライラ等)に芎帰調血飲第一加減

血の道症、月経不順、産後の体力低下に効能がある『芎帰調血飲第一加減』をご紹介します。



まず、血の道症とは
女性ホルモンバランスが大きく変動する月経、妊娠、出産、更年期の時に現れる精神不安、苛立ちなどの精神神経症状、そして身体症状のことを指します。
血の道症が起こる期間は、女性ホルモンの大きな変動が始まる10才くらいから更年期が終了する50代中頃くらいと言われています。(個人差があります)

<血の道症の主な訴え>
・疲れやすい
・イライラや精神不安
・気鬱になる
・むくみやすい
・手足の冷えを感じる
・月経痛
・頭痛
など


漢方では、ホルモンバランスの崩れが体の臓器に影響し、

・胃腸の消化吸収能力の低下で起こるエネルギー不足(気虚)
・血液の量・質(栄養)が不足(血虚)
・血液以外の体液不足(津液不足)

が起こっていると考えます。
これらの不足は、体の巡りも悪くし、血液の抹消循環が悪くなる瘀血や、水分が停滞するむくみなどを引き起こします。また、外からの精神的ストレスは、血の道症の引き金になったり、症状を悪化させます。


芎帰調血飲第一加減は、上述の症状の原因を解決する生薬で構成されています。

血を補い、血液の流れを良くする(養血活血)
当帰、川芎、芍薬、地黄

胃腸を整え、消化吸収を良くする(健脾和胃)
白朮、茯苓、大棗、陳皮、甘草

血の滞りを改善し、血行促進と痛みを止める(活血化瘀)
桃仁、牡丹皮、紅花、益母草、木香、延胡索

気の滞りを改善し、温めて気の巡りを整え、痛みを止める(行気止痛、温通止痛)
烏薬、香附子、枳実、陳皮、木香、延胡索

温め冷えを改善(温陽散寒)
桂皮、生姜

 


2才未満から服用可能な漢方薬ですので、10才からの思春期での血の道症にも服用できます。


お薬を服用するとともに養生をプラスすることで血の道症の症状を緩和できます。
養生法を以下に示します。


体を冷やさない
冷たい食べ物、飲み物を控える


体の代謝を上げる
適度な運動、お風呂は湯船にしっかりつかる


ストレスを溜めない
ストレスがある場合は、抱え込まず、気分転換・発散方法を持つ
(例:信頼する友達・家族にに話す、趣味に没頭、運動で汗を流す)


過度なダイエットはしない
標準体重を目安に痩せすぎない。
1日3回、バランスのとれた食事を摂る


十分な睡眠をとる
年齢に応じた睡眠時間をとる。成人は6時間以上(理想は7時間)
午後11時迄には就寝する


熊本 菊陽町 菜の花漢方堂