春の食材でデトックス

<春の食材でデトックス>

立春からの3ヶ月は「発陳(はっちん)※」という期間。閉蔵の季節と言われる冬に体へ蓄えられた物を外へ出して使っていく時期なんです。


※ 「陳」は古い物を意味し、それを発するという意味です。


この時、並行して冬に溜まった不要な物をうまくデトックスしていかないと不調を招きます。

昔の人は、春にデトックスが必要であることをよくわかっていて


「春は苦味を盛れ」


という簡潔な言葉で私達に教えてくれています。

この苦味は、春が旬の食材を指します。

では代表的な春の苦味食材の特徴をご紹介していきます。


タケノコ 苦味 寒性


春の陽気でほてる体の熱を冷ましてくれます。かつ、利尿と便通の作用を持つので、体にたまった老廃物を排出し、むくみも取ってくれます。但し、体を冷やす作用がありますので食べ過ぎには注意です。温性の食材と一緒に摂りましょう。

 


ヨモギ 苦味 温性


体を温め末梢血管を拡張し血の巡りを良くします。かつ、血をきれいにする浄血作用も持ちますので、老廃物を排出する力が抜群です。さっと茹でて水にさらして冷ましてから冷凍保存しておくと、スープや味噌汁などに使いやすいですよ(^^)

 


菜の花 苦辛味 温性


当店の名前にもなっている菜の花。血の巡りを良くして炎症や腫れ物をとると古い文献にかかれています。加えて、肝機能も高めてくれるので解毒作用も高めてくれます。鉄分が豊富ですので、貧血気味の人にオススメです。

 


フキ 苦味 温性


冬眠から目覚めた熊が老廃物排出のため最初に食べるといわれるフキ。
胃の調子と便通を整え、老廃物を排出してくれます。

 


ウド 苦辛味 温性


体の中の寒と湿(体に不要な水)を追い出し、冷えを改善し関節痛などの痛みを軽減してくれます。
ちなみにウドの根っこは、関節痛などに使われる独活(どっかつ)という生薬になります。
ウドの大木で有名なウド。全然役立たずではなく。とても役に立つ食材です。

 


春の苦味食材を食べて元気に春を乗り切りましょう(^^)

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

お花見時期の胃腸ケア


<お花見時期の胃腸ケア>

お花見、歓送迎会、食事会があると、冷たいアルコールや飲み物と一緒に脂物、味の濃い物、生モノ、消化の悪い物をとってしまいお腹の調子を崩す方が多いですね(^^)。冷たい飲み物は、喉越しがよいのです。しかし、体を冷やすことで、味覚や満腹中枢などが鈍感になり、いつもより食べすぎてしまうという点が胃腸を悪くすることに繋がります。

この時に起こる代表的な症状を漢方の視点で紹介します。


🔹直中(じきちゅう)
直接胃腸が冷やされ胃腸の筋肉が痙攣することによる腹痛
(直中は、直接、胃腸に冷たさが中(あた)るという意味)


🔹寒湿困脾(かんしつこんぴ)
胃腸を含む周囲の臓器(肝臓、胆のう、膵臓)も冷える為、消化力、吸収した栄養の分解力、老廃物の分解力が落ちることにより胃腸機能が低下するというもの。下痢、軟便、次の日に倦怠感、張るような頭痛が残ったりします。


🔹脾胃湿熱(ひいしつねつ)
冷え、食べ過ぎから胃腸機能が低下し、飲食物の消化分解不足で、湿という体におって不要な病的な水が生じます。その湿は、時間が経つと熱を持ち、熱を持った便や尿、粘りのある便がでることがあります。次の日に、倦怠感、脹るような頭痛を併せて訴えたりもします。

 


では、使う漢方薬の一例をご紹介します。


🔸冷たい物を飲むと腹痛を起こす方
 附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
 理中湯(りちゅうとう)
 安中散


🔸数時間後、または次の日に下痢、軟便、吐き気が起こる方
 イスクラ 勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)


🔸熱を持った便、尿がでる方
 イスクラ 瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)
 イスクラ 清営顆粒(せいえいかりゅう)


🔸次の日、倦怠感や張るような頭痛を伴う方
 イスクラ 勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
 五苓散(ごれいさん)

 


養生としては、温かい飲み物と一緒に食事をして、食べ過ぎにない。これに尽きます(^^;
以上、漢方と養生で楽しいお花見、歓送迎会になれば幸いです。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

春の不眠


<春の不眠>


環境が変わることも起因するのかもしれませんが、春に不眠のご相談は多いです。
不眠と言っても大きく分けて、寝付きが悪い(入眠障害)、何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早く目がさめる(早朝覚醒)があります。


また原因は様々で、複数の要因が重なっていることがほとんどです。漢方は、西洋薬のように直接脳の活動を抑えて眠らせるのではありません。原因である身体の弱りを見極めて、漢方薬と養生で弱った部分を立て直すことによって、眠れる体に持っていきます。そのため、原因によって回復期間は数日~数ヶ月と幅は広くなります。


それでは、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒のタイプ別に代表例とそれに合う漢方薬をご紹介します。


<入眠障害>


ストレスの場合
ストレスでイライラが過ぎると気の巡りが滞ります。気の停滞は熱を生み、それが頭に上り熱がこもり入眠を妨げます。気を巡らし、熱が上がらないようにする漢方薬で自然な眠りを目指します。


【漢方薬の一例】
イスクラ逍遙顆粒(しょうようかりゅう)
イスクラ酸棗仁湯顆粒(さんそうにんとうかりゅう)
イスクラ温胆湯(うんたんとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)


【養生】
・柑橘系の果物、香草野菜などを摂り、気の巡りをよくする
・ハーブティーやアロマでリラックスする
・運動、音楽を聴く、趣味や好きなことに没頭、気の合う友だちとおしゃべりなどで上手にストレスを解消する


頭の使い過ぎなどの場合
脳が興奮状態で熱を持ち、寝付きが悪くなっているため、クールダウンさせる漢方薬を使います。


【漢方薬の一例】
イスクラ 酸棗仁湯顆粒(さんそうにんとうかりゅう)
羚羊角を主薬とした漢方薬


【養生】
・寝る1時間前に脳が興奮することは避ける(スマホ、動画視聴、ゲーム等)
・ハーブティーやアロマでリラックスする

 


<中途覚醒>


眠りが浅く、夢をたくさん見るの特徴です。何度も目が覚めるため、朝、疲れが残っていると訴える方が多いです。


血が不足している場合
考え過ぎ、悩み過ぎで脾(胃腸)を傷め、栄養吸収が少ないため血不足になり、血が少ないため脳を養えずに眠りが浅いということがあります。また、女性の場合、脾を傷めると血管に血をとどめておく力が弱くなるため、生理時に出血過多で血不足が生じ、中途覚醒になることもあります。
脾をケアしながら、血を補う漢方薬で眠りの回復を目指します。


【漢方薬の一例】
イスクラ 心脾顆粒(しんぴかりゅう)
イスクラ 婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)
イスクラ 参茸補血丸(さんじょうほけつがん)


【養生】
・消化の良い、温かい食べ物を腹八分目で食べて胃腸をケア
・よく噛んで食べる
・冷たい飲食物は控える
・趣味や好きなことに没頭、気の合う友だちとおしゃべりなどでクヨクヨ考えないようにする
・過労は避ける


痰湿(病理的な水)による場合
暴飲暴食、偏食(脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎ)、お酒の飲み過ぎたりすると”痰湿”という病理的な水が体に溜まりやがて熱を持ちます。その熱が上がり、頭にこもるため眠りが浅くなります。痰湿と熱を取り除く漢方薬を使い、眠れるよう体を整えていきます。


【漢方薬の一例】
イスクラ 温胆湯(うんたんとう)
イスクラ 瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)


【養生】
・消化の良い、温かい食べ物を腹八分目で食べて胃腸をケア
・脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎない
・冷たい飲食物は控える
・よく噛んで食べる
・少し息があがる程度の運動をする
・夕食と寝るまでの時間を4時間以上あける

 


早朝覚醒


老化と密接に関わる腎の弱りが原因です。潤いの源である腎が弱ると熱を冷ますことができなくなり、持続して頭をクールダウンさせて置くことができず、早く目覚めてしまいます。早朝覚醒は、ご年配の方に多いです。腎を補い、潤いを戻してあげる漢方薬を使い、しっかり眠れることを目指します。


【漢方薬の一例】
イスクラ 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
イスクラ 天王補心丹(てんのうほしんたん)
瓊玉膏(けいぎょくこう)
亀板を主薬にした漢方薬


【養生】
・消化の良い、温かい食べ物を腹八分目で食べて胃腸をケア
・脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎない
・冷たい飲食物は控える
・体を冷やさない
・過労は避ける

 


以上が不眠タイプ別の漢方と養生法です。タイプは違いますが、養生は共通することが多いです。特に食べるタイミング、食べ方、食べ物の種類、食べる量の養生を守ると質の良い眠りが得られやすくなります。

ご参考にして頂き、良い睡眠の助けになれば幸いです(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。


熊本 菊陽町 菜の花漢方堂