貧血(血の消耗量と体内血量のバランスの崩れ)

貧血は、血の不足であり、漢方で血虚(けっきょ)と言います。

クラッとする目眩(めまい)をイメージする方が多いと思われますが
他に血虚で現れる症状は、


・月経時の経血量が少ない
・月経の周期が長い
・生理が来ない
・冷え
・不眠(入眠困難・多夢)
・心神不安(精神不安)
・手足のしびれ
・爪がもろく割れやすい
・髪がパサパサ乾燥する・抜け毛が多い
・便秘


など、たくさんあります。

根本の原因は、


血の消耗量  体内血量


上回るバランスの崩れです。


※体内血量は、造血能力、血の貯蔵能力、血の材料が十分にあるかに依存


血の消耗量が増える要因は、


生理・妊娠・出産・授乳・更年期
疾病・ケガ
ストレス・夜ふかし・目の酷使・過労


などです。また、これらの要因が


血液の材料を取り出す・・・・
造血量を制御する・・・・・・・・
血の貯蔵・量を調節する・・・


の機能を低下させ、体内の血量が減り、血の消耗量より下回ると血虚になる場合があります。

 


それでは、漢方での貧血(貧血による血色不良を含む)への対応をご紹介します。

肝・腎・脾の弱りを見極めながら次のような漢方薬を使っていきます。

<漢方薬の一例>


🔶脾の弱り(脾虚)が主な貧血原因になっている場合
貧血以外に胃腸虚弱、食欲不振、疲れやすいなどの症状を伴うことが多いです


十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
帰脾湯(きひとう)

 


🔶肝の弱り(肝血虚)が主な貧血原因になっている場合
怒りやすい、目のかすみ、足がつりやすいなどの症状を伴うことが多いです


婦宝当帰膠B(ふほうとうきこうB)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
四物湯(しもつとう)

 


🔶腎の弱り(腎虚)が主な貧血原因になっている場合
腰痛、腰のだるさ、冷え、難聴、尿もれなどの症状を伴うことが多いです


参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
霊鹿参(れいろくさん)


なお貧血は、不眠、気分の落ち込みなども併発する症状は上記だけではないです。必要に応じて漢方薬を合方していきます。

 


次に養生です。
漢方での回復を目指す時は、養生割、薬と言われています。”早期回復”と”再発防止のため”に養生は、最も優先すべきことです。

<養生>


🔸お腹が空いてから食べる
🔸消化の良い、温かい物を腹八分目で食べる
🔸冷たい飲み物と一緒に食事をとらない
🔸食事に酢の物を一品摂り入れる(鉄、ミネラルを効率よく吸収するため)
🔸バランスのよい食事を摂る(血は、タンパク質、ミネラル、ビタミンなど様々なものがあって産生されるため)
🔸適度な運動、入浴で血の巡りをよくする
🔸筋肉を鍛える(血を多く消費する筋肉をつけることで、体に血のもっと必要であることを教える)

 


貧血は、体の様々な不調、体質、生活習慣などをしっかりお聞きし、原因を見極める必要があります。心当たりのある方は、まずご相談下さい😊

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

 

 

これからの暑い時期に気をつけたい事


『これからの暑い時期に気をつけたい事』


5月も下旬に入り、晴れる日は気温が30℃前後まで上がります。
これからの暑い時期に気をつけたいのが「湿(しつ)」

「湿って何?」と思われると思います。体にとって不要な病的な水とイメージして頂けると良いです。
湿が悪化すると、水の代謝が悪くなり、停滞し淀みます。
この状態を湿濁(しつだく)といい、次のような体の不調がでてきます。


🔹食欲不振
🔹下半身が重い
🔹倦怠感
🔹軟便、下痢(粘度の高い便、臭いが強い便)
🔹悪心、吐き気
🔹胃もたれ
🔹吹き出物が多い
🔹不快な体臭
🔹尿の出が少ない、尿の濁り
🔹口の中がネバネバ。舌苔が厚い


などです。

次のような生活習慣が原因となっていることがほとんどです。


🔹冷たい飲み物、なま物、脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎ
🔹運動不足(一日中座ったまま)
🔹汗をかかない
🔹冷房の効いた部屋に一日中いる

 


それでは、
湿濁を解消する養生をご紹介します✨基本は、悪い生活習慣の逆のことをすれば良いです(^^)


🔸冷たい飲み物、なま物、甘い物を摂りすぎない
🔸温かい消化の良い食べ物をよく噛んで食べる
🔸運動、入浴で適度な発汗を心がける
🔸水をさばく食材を摂り入れる
 緑豆もやし、ごぼう、大根、冬瓜、
 ピーマン、小松菜、とうもろこし
 えおきたけ、なめこ、たけのこ
 里芋、こんにゃく
 昆布、わかめ、のり、ひじき
 緑茶、はと麦茶
など

 


症状に合わせて漢方薬も使います。漢方薬の一例を示します。


🔸食欲不振など胃腸の不調に
勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
加味平胃散(かみへいいさん)
健胃顆粒(けんいかりゅう)
健脾散エキス顆粒(けんぴさんえきすかりゅう)


🔸尿の出が少ない、尿の濁り
瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)

 


症状が強い時は、養生と共に漢方薬の力を借りましょう。
症状が軽くなってきた、または予防のためには日々養生を実践し、
湿を溜めない体作りで暑い時期を健康に乗り切りましょう😊

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

血の巡りを良くしよう


『血の巡りを良くしよう』

漢方では、血の巡りが悪い状態を瘀血(おけつ)と言います。

瘀血の症状は


🔸目の下にくま
🔸シミ・そばかすが多い
🔸手足の冷え
🔸首・肩が凝る
🔸生理痛(刺すような固定痛)
🔸舌の色が暗い
🔸肌がザラザラしている

などです。

 


瘀血の原因を探ってみると、気滞(きたい)、痰湿(たんしつ)、血虚(けっきょ)の3タイプに多いと感じています。


🟣気滞瘀血(きたいおけつ)
血を押し出す力の「気」が滞り、血の巡りが悪くなっている状態

🟣痰湿瘀血(たんしつおけつ)
冷たい飲食物、甘い物、脂の物、味の濃い物の摂り過ぎや運動不足で、血液がドロドロで巡りが悪い状態

🟣血虚瘀血(けっきょおけつ)
血が不足しており、血の流れが悪く巡らない状態


ちなみに、当店だと


気滞瘀血日頃強いストレスを継続的に受ける人に多く、
痰湿瘀血一日中デスクワークの動かない人に多く、
血虚瘀血偏食、食事の量が少ない人、痩せている人に多い


です。

 


それでは、3タイプの瘀血に使っていく漢方薬の一例をご紹介いたします。

<漢方薬>


🟣気滞瘀血(きたいおけつ)タイプ

血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)

冠元顆粒(かんげんかりゅう)+逍遥顆粒(しょうようかりゅう)

冠元顆粒(かんげんかりゅう)+柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)

 


🟣痰湿瘀血(たんしつおけつ)タイプ

冠元顆粒(かんげんかりゅう)※+温胆湯(うんたんとう)

冠元顆粒(かんげんかりゅう)※+健脾散エキス顆粒(けんぴさんえきすかりゅう)

※または、芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

 


🟣血虚瘀血(けっきょおけつ)タイプ

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

婦宝当帰膠+冠元顆粒(かんげんかりゅう)※

参茸補血丸+冠元顆粒(かんげんかりゅう)※

※または、芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

 


次に、瘀血に対する養生をご紹介します。

<養生>


🔶ストレスを溜めない
趣味、好きな事に没頭、家族・友人に話すなどしてストレスを溜めないようにしましょう
🔶食事は温かい、消化の良い物をよく噛んで食べる
🔶食事の量は腹8分目
🔶バランスの取れた食事を心がける
参考までに
血の巡りをよくする食材
玉ねぎ、ネギ、ナス、にんにく、
らっきょう、生姜、みょうが、黒酢、山椒
青魚(あじ、いわし、さば)
血を補う食材
人参、ほうれん草、小松菜、黒ごま、
黒豆、小豆、ぶどう、レーズン、イチゴ
プルーン、ナツメ、あさり、しじみ、
牡蠣、レバー、鶏肉

🔶適度な運動を行い、筋力をつける
血を消費する筋力が増えることで体が血を増やす方へ働きます。すると血量が増え、血の巡りがよくなります。

 


瘀血は、日々の不摂生な生活習慣が原因です。
上記の養生をできるところから実践して、血の巡りをよくしていきたいですね😊


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂