漢方で寒さ対策


『漢方で寒さ対策』

数日前から一気に熊本は寒くなりました。
そこで、今回は冬場の寒さに対する漢方薬と養生をご紹介したいと思います。

漢方で寒さは寒邪(かんじゃ)ととらえ、外寒(がいかん)内寒(ないかん)の2種類があります。

外寒は、冬の寒さやクーラーなどで、外から侵入してくる寒さのこと。寒い冬の外や、職場で寒い環境に長時間いることにより、外寒に侵されます。余談ですが、寒邪は風邪を伴って体へ入ってくることが多いです。

内寒は、体の中から発生する寒さです。体を温めるエネルギー不足から冷えを生じる状態を言います。体内の冷えは、臓器の働きを弱め、さまざまな不調をもたらします。内寒は、慢性的に虚弱な方、病後で体力が落ちている方、高齢者、長期間過度なダイエットの方などに多いです。

漢方薬では、温性の生薬(桂枝、乾姜、附子、呉茱萸、鹿茸、紅参など)を主に使い、体を温め、冷えを追い出します。

それでは、代表的な漢方薬をご紹介します。


<<漢方薬>>


◆慢性的な冷え(陽虚)


霊鹿参(れいろくさん)
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)


◆手足先の冷え


婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)


◆冷えた飲食物を取ってしまった時の腹痛


人参湯(にんじんとう)
附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう) <- 小児用


◆冷えからくる頻尿


八味地黄丸(はちみじおうがん)
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

 


次に養生をご紹介します。


<<養生>>


🔸温かい衣服で防寒を
特に風邪が侵入しやすい首、手首、足首を寒さから守りましょう


🔸お腹周りをカイロで温める
内寒で熱を作り出すことが弱っている状態の時はカイロで熱を補いましょう。
次の2箇所にカイロを貼ることをオススメします。
腹側 へその下あたり
背側 お尻の上、仙骨あたり
※カイロを長く貼付することでの低温ヤケドにはご注意ください


🔸冷たい飲食物は、極力控える
体の外を防寒していても、体の中に冬を作ってしまったら台無しです。温かい食べ物を摂り、体の中も冷やさないようにしましょう。


🔸体を温め陽気を養う食材を摂る
にら、ねぎ、しょうが、にんにく、しそ
かぼちゃ、山芋、きのこ類、大豆製品、えび、羊肉、紅茶、シナモンなど


🔸温かいお風呂にしっかり入る
温かいお風呂に入ると気血水が手先足先まで巡るので、冷えに効果的です。


🔸適度な運動を行う
体を動かせる方は、少し息が上がるくらいの運動を1日30分くらいできると良いです。お風呂と同じで、気血水が手先足先まで巡り冷えに効果的です。

 


寒い冬を温かく乗り切るために上記の漢方薬と養生がお役立てれば幸いです(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

冬の関節痛対策


『冬の関節痛対策』

寒さが本格的になり、腰や膝など、関節の痛みを訴える相談が増えています。
関節痛の原因は色々ありますが、この時期は、寒さ(寒邪)湿(湿邪)の影響によることが多いです。

漢方の視点だと、寒湿邪が気血の流れを阻害し関節痛が起こると考えます。

秋、冬の寒さからくる「寒邪」は、凝滞(ぎょうたい)の性質を持ちます。
体の中では、寒さで気血水の流れが滞り、関節部への滋養と老廃物の回収が円滑に行われなくなり、それが痛みとなって現れてきます。

次に「湿邪」(体に害を及ぼす病的な水)。秋、冬の乾燥時期なのに”なぜ湿邪?”と思われるかもしれません。
乾燥時期でも体に湿邪は侵襲してきます。というより、自分で摂り入れていると言ったほうが正しいかもしれません。そう、主に飲食物が原因です!!

寒さで体をあまり動かさなくて、代謝が落ちているところへ、甘い物、脂っこい物、甘い清涼飲料水、生もの、冷たい飲食物をを摂りすぎていると体に「湿」が溜まります。
湿邪は、重く下へ停滞する特徴があり、関節に湿が溜まることで痛みが現れます。

 


それでは、寒湿邪が原因の関節痛への漢方薬をご紹介します。
<<漢方薬>>


 風寒湿邪が原因の関節痛のベースは
 五積散(ごしゃくさん)


 冷えがより強い時(腰痛など上半身)
 五積散 + 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)


 冷えがより強い時(膝など下半身)
 五積散 + 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)


 加齢などで筋肉、骨が弱っているときは
 五積散 + 独歩顆粒(どっぽかりゅう)


 血のめぐりが悪さ(瘀血)が強い時
 五積散 + 疎経活血湯(そけいかっけつとう) or 地竜(じりゅう)

 


次に養生をご紹介します。

<<養生>>


◆体を冷やさない
 ->患部を冷やさない。衣服等でしっかり保温
 ->ストレッチや適度な運動を※
 ->温かいお風呂にしっかり入る

 ※無理のない範囲で運動。例えば膝痛で歩けない時は、座りながらできる運動を行う


◆甘い物、脂っこい物、甘い清涼飲料水、生もの、冷たい飲食物を控える

 


上記、漢方薬と養生で少しでも関節痛が緩和されると幸いです(^^)
関節痛のご相談では、適切な漢方薬と運動などの養生も一緒にお伝えしております。お気軽にご相談ください。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

鼻みず鼻詰まりは寒熱を見極めて


『鼻みず鼻詰まりは寒熱を見極めて』

12月に入り寒さが増し、鼻みず鼻詰まりの方が多くなってきたなと感じます。

冬は、寒さやカゼなどの要因に加え、乾燥でホコリが舞いやすくなり、そのハウスダストが鼻を刺激することで、鼻みず鼻づまりを起こさせます。

漢方で鼻みず鼻詰まりをみるとき、今の症状は、寒”,熱”どちらの要因が強いかを確認します。

鼻みずが透明でスタスタ多く出て、鼻詰まりも伴っているときは、寒の要因が強いと捉えます。併せて、後鼻漏を訴える方が多いです。

一方、鼻みずが黄色または緑色の色がついていてドロっとしており、鼻詰まりが伴っているときは、熱の要因が強いと捉えます。併せて、目の奥に痛みや頭重感を訴える方もおられます。

余談ですが、相談を受けていると、透明なスタスタ鼻みず鼻詰まりの症状がよく出る方が、疲れなどで免疫が落ちて、副鼻腔で細菌が繁殖し、炎症をともない熱の鼻みず鼻詰まりに変わっていくというパターンが多いです。

 


では、症状、体質にあわせて、適する漢方薬をご紹介します。

<<漢方薬>>


◆寒が原因
体力がある方:小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
虚弱な方:苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)


体を温め、水をさばく生薬で鼻みず、鼻詰まりに対処していくのは同じです。しかし、小青竜湯は体力があり急性かつ短期間の服用に向きます。一方、虚弱で体力がなく慢性化している方は、苓甘姜味辛夏仁湯が適しています。

 


補足)日頃からの予防や体質改善


衛益顆粒(えいえきかりゅう)
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

 


◆熱が原因


辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
鼻淵丸(びえんがん)


寒性の生薬で炎症を鎮め、鼻みずをかきだす生薬で繁殖した細菌を排出し、鼻詰まりとドロッとした鼻みずの改善をしてくれます。

 


次に鼻みず鼻詰まりでの養生をご紹介します。
<<養生>>


鼻みず鼻詰まりの根本原因は、”寒”です。よって、養生は、体の中に冷えを作らないことが最優先です。


🔶体を冷やさない


🔶冷たい飲食物を避ける


🔶マスクを着用し寒暖差や乾燥、アレルギー物質から敏感な鼻粘膜を守る


🔶十分に休養し体力を落とさないようにする

 


鼻みず鼻詰まりは、煩わしく地味にツラく、仕事や勉強の効率を落とします。長く続けば睡眠を妨げて不眠、口呼吸になり喉を傷めるなどして、次の大きな病気への引き金にもなります。よって、早めのケアで日頃の体質を改善することが重要になってきます。

鼻みず鼻詰まりでお困りの方は是非ご相談ください。症状と体質をしっかり見極め、適切な漢方薬と養生をご提案致します。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂