痛みは漢方で解消!!


『痛みは漢方で解消!!』


今回は痛みに対する漢方での考え方と解消方法をお話します。

知っておくと「痛みの原因が何かな~」と考えるときにも役に立ちます(^^)
いきなりで恐縮ですが、四字熟語を2つ。

不栄則痛(ふえいそくつう)
不通則痛(ふつうそくつう)

不栄則痛は、”栄養足りない”と痛みを生じる不通則痛は、”通じない(届かない)”と痛みを生じるという考え方です。

これらの痛みは、主に”補う”と”巡らせる”漢方薬を使いながらとっていきます。

そして、漢方で痛みを取ろうとするとき、もう1つ考慮すべき大切な事があります。

それは、”寒熱(かんねつ)”です。
痛みを取る漢方薬には、温める作用が強い薬と、冷やす作用が強い薬と分かれます。

例えば、
急性の痛み(炎症)でズキズキ症状がでている時
->温め作用が強い漢方薬を使うと、痛みが悪化
冷えで通じなくなって痛みが生じている時
->冷やす作用が強い漢方薬を使うと、痛みが悪化

となります。

漢方薬は、寒熱を間違うと痛みが増加してしまうので気をつけないといけません。
逆に、寒熱を把握して、適切な漢方薬を使うと回復が早まります。



では、これらを踏まえて、よくある痛みの相談での漢方薬の一例をご紹介します。



<漢方薬>


◆頭痛


肩まわりの血、水の巡りが悪くての頭痛


冠元顆粒(かんげんかりゅう)
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

ドクドクと拍動を感じる頭痛


清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)


悪寒を感じる風邪での頭痛


川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)


熱を感じる風邪での頭痛


銀翹散(ぎんぎょうさん)


◆腹痛


冷たい物を食べての腹痛、下痢


人参湯(にんじんとう)
附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう) <-小さなお子様向け

しぶり腹で肛門に灼熱痛がある腹痛、下痢


葛根黄連黄芩湯(かっこんおうれんおうごんとう)


◆生理痛


血の巡りの悪化からくる生理痛(冷えが伴うことが多い)


折衝飲(せっしょういん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)

◆関節痛


冷えと血水の巡りが悪くなっての腰痛、膝痛


疎経活血湯(そけいかっけつとう)
独歩顆粒(どっぽかりゅう)
五積散(ごしゃくさん)
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)

<養生>


🔶バランス良い温かい物を食べる
🔶体を冷やさない
🔶ほどよく体を動かす
🔶過労は避ける
🔶日付が変わる前に就寝し、しっかり寝る

以上の養生5つは、簡単なようで、毎日実践することは難しいです。

できるところからはじめて、痛みが生じにくい身体づくりを目指しましょう(^^)

<注意>

本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。
熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

冬の関節痛対策


『冬の関節痛対策』

寒さが本格的になり、腰や膝など、関節の痛みを訴える相談が増えています。
関節痛の原因は色々ありますが、この時期は、寒さ(寒邪)湿(湿邪)の影響によることが多いです。

漢方の視点だと、寒湿邪が気血の流れを阻害し関節痛が起こると考えます。

秋、冬の寒さからくる「寒邪」は、凝滞(ぎょうたい)の性質を持ちます。
体の中では、寒さで気血水の流れが滞り、関節部への滋養と老廃物の回収が円滑に行われなくなり、それが痛みとなって現れてきます。

次に「湿邪」(体に害を及ぼす病的な水)。秋、冬の乾燥時期なのに”なぜ湿邪?”と思われるかもしれません。
乾燥時期でも体に湿邪は侵襲してきます。というより、自分で摂り入れていると言ったほうが正しいかもしれません。そう、主に飲食物が原因です!!

寒さで体をあまり動かさなくて、代謝が落ちているところへ、甘い物、脂っこい物、甘い清涼飲料水、生もの、冷たい飲食物をを摂りすぎていると体に「湿」が溜まります。
湿邪は、重く下へ停滞する特徴があり、関節に湿が溜まることで痛みが現れます。

 


それでは、寒湿邪が原因の関節痛への漢方薬をご紹介します。
<<漢方薬>>


 風寒湿邪が原因の関節痛のベースは
 五積散(ごしゃくさん)


 冷えがより強い時(腰痛など上半身)
 五積散 + 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)


 冷えがより強い時(膝など下半身)
 五積散 + 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)


 加齢などで筋肉、骨が弱っているときは
 五積散 + 独歩顆粒(どっぽかりゅう)


 血のめぐりが悪さ(瘀血)が強い時
 五積散 + 疎経活血湯(そけいかっけつとう) or 地竜(じりゅう)

 


次に養生をご紹介します。

<<養生>>


◆体を冷やさない
 ->患部を冷やさない。衣服等でしっかり保温
 ->ストレッチや適度な運動を※
 ->温かいお風呂にしっかり入る

 ※無理のない範囲で運動。例えば膝痛で歩けない時は、座りながらできる運動を行う


◆甘い物、脂っこい物、甘い清涼飲料水、生もの、冷たい飲食物を控える

 


上記、漢方薬と養生で少しでも関節痛が緩和されると幸いです(^^)
関節痛のご相談では、適切な漢方薬と運動などの養生も一緒にお伝えしております。お気軽にご相談ください。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

関節痛(膝、腰、肩など)


<<関節痛>>


関節痛は、次の4つに着目し、原因を見極めて対応することが多いです。


1)血の不足
2)血と水の滞り
3)筋(スジ)・骨・筋肉の弱り
4)風邪、寒邪、湿邪の侵襲


1)~4)に関して説明します。


1)血の不足
胃腸虚弱、食欲不振、偏食、無理なダイエット等が元にあり、栄養を十分に得ることができず、血を必要分作れないようになり、血の量が減少し、栄養を巡らせることができなくなっている状態


2)血と水の滞り
肥甘厚味(ひかんこうみ)と言って、脂物、甘い物、味の濃い物の食べ過ぎで、血・水が濁り、巡りが悪くなり滞ってしまう状態。運動不足でも血・水の巡りが悪くなり滞ってしまうことがあります。また、1)の血不足で血が少ないと滞りが生じます。


3)筋(スジ)・骨・筋肉の弱り
1)または2)が長く続き、筋・骨・筋肉が弱りだした状態

余談ですが、筋(スジ)は『肝』※1、骨は『腎』※2、筋肉は『脾』※3に深く関係すると考えます。


※1『肝』は、全身の筋を養っており、肝の血が不足すると筋の疾患が起こります
※2『腎』は、人体の成長・発育・生殖にかかわる腎精という物を貯蔵し、腎精が髄に変化し骨を養います。よって腎精が不足すると骨の疾患が起こります
※3『脾』は、胃腸の消化吸収を担い、胃腸から栄養を摂り入れることができないと、十分な筋肉が作れないなどが起こります


4)風邪、寒邪、湿邪の侵襲
外から体に影響を及ぼすものを外邪と言います。特に関節痛へ影響するのは、風邪、寒邪、湿邪です。例えば風邪であればカゼを引いて関節が痛む。寒邪であれば寒くなると膝が痛む。湿邪であれば雨に濡れた後、または梅雨時期に関節が痛むなどです。

 


<<漢方でのアプローチ>>

上記、4つのポイントを踏まえて、次の特徴を持つ漢方薬を組み合わせて関節痛へ対応していくことが多いです。


健脾益気・・・弱った胃腸を元気に
活血養血・・・血を補い、滞りを無くす
補肝益腎・・・弱った肝と腎を元気に
通絡・・・・・塞がった経絡を通す※4
去風寒湿邪・・関節を痛める原因である風寒湿邪を取り除く


※4『経絡』は、人体の中の気(エネルギー)・血・体液などの生きるために必要な物が流れる通路


経験則ですが、関節痛は1つの原因ではなく、複数の原因が重なっています。よって、その人にあわせてベースで使用する漢方薬や、併用する漢方薬は変わります。

 


<<漢方薬の使用例>>
当店での関節痛相談でベースとして使用した漢方薬例をいくつかご紹介します。


・冷えると腰、膝の関節が痛みだす。主に下半身の関節痛
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)


・冷えると肩、首のあたり、肘、手首の関節が痛みだす。主に上半身の関節痛
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)


・加齢に伴い腰、膝の関節が痛む。屈伸が困難である
独歩顆粒(どっぽかりゅう)、五積散(ごしゃくさん)


・関節のむくみ、筋肉のひきつりがあったりして(血と水の巡りが悪い)、関節が痛む
疎経活血湯(そけいかっけつとう)


・肩が痛くて肩が上がらない(五十肩)
独活葛根湯(どっかつかっこんとう)

 


<<回復にどれくらい期間が必要か>>
冷えだけ等の軽度な関節痛であれば、日単位で症状は回復に向かうことが多いです。次に、筋肉が落ちただけ等の中度な関節痛であれば、週単位または月単位で症状は回復に向かいます。骨や筋がひどく弱っている場合は、半年または年単位でかかる場合があります。

但し、軟骨が全く無くなっているなどの関節痛は、漢方薬で対応が困難な場合もございます。お店で状況をお聞かせください。

 


相談では、関節痛の期間、痛みの度合い、体質、生活習慣などをしっかりお聞きし、原因を見極め、あなたにあう漢方薬を提案します。ぜひ、ご相談ください(^^)

 


※注意
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂