漢方でイライラとサヨナラ


『漢方でイライラとサヨナラ』

男女問わず、現代社会はストレスが日々かかっています。
年中を通して、ストレスによるイライラを緩和したいという相談があります。経験則ですが、温かい、または暑い時期に相談件数が増えると感じています。


さて、中医学の視点で考えると、ストレスによるイライラに深く関わってくるのは「肝(かん)」と「心(しん)」です。

肝は、気の巡りをコントロールしており、ストレスで気の巡りに滞りが生じると、鬱々(うつうつ)として、イライラや憂鬱(ゆううつ)を起こします。

次に心。心は神(精神)を蔵すると言われております。暑さで余分な熱を排出するために血を巡らせ汗を出していると心に大きな負担がかかり、心が弱ります。心が弱ると精神コントロールも弱り、感情が抑えられなくなります。例えば、暑いとちょっとしたことで怒りやすくなってしまうのは心の弱りとも言えます。

 


では、ストレスによるイライラ時によくご提案する漢方薬と養生をご紹介します。

<漢方薬>


逍遙顆粒(しょうようかりゅう)
ストレスで弱った肝の気の巡りを改善し、また脾を整え、血を補いイライラをケアします。女性の軽いイライラによくお勧めします。


加味逍遙散(かみしょうようさん)
逍遙散へ山梔子と牡丹皮という清熱の生薬が入っています。イライラに加えて、のぼせ、ほてりなどの熱症状が伴っている時にオススメしています。余談ですが、PMS(月経前症候群)の時にも使います。


抑肝散(よくかんさん)
ストレスで気血が滞っている上に、うまくストレスを発散できずイライラする時にオススメしています。


抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
抑肝散の症状に加え、長期間のストレスで痰飲(体に病的な水)がたまり、悪心、嘔吐、胸のつかえなどの症状が伴う時にオススメしています。陳皮、半夏の生薬が痰飲をケアしてくれます。


桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
ストレスにより気血が滞り、イライラに加えて、のぼせを伴っている時に良いです


芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
ストレスにより気血が滞り、かつそもそも気血が不足している時に良いです。

 


次にイライラへの養生法をご紹介いたします。


<養生>


🔶イライラしてしまった時


🔸腹式呼吸で気分をリラックス
※吸った時間の倍以上の時間を使って息を吐く



🔸ツボを抑えて気持ちを落ち着かせる(オススメのツボは、合谷、神門、内関の3つ)


ツボ押しのコツ
・位置、押す強さは、自分が心地よい、または痛心地よいと思うところ
・押す回数は、とくに決まっていません。自分がこれくらいかなと思う回数で良いです




 


🔶ストレスをうまく発散する


🔸好きなことをする
好きなことなど1つのことに集中すると余計なことを考えずストレス解消になります。但し、食べることが好きで、食べてストレス発散は胃腸を傷めるので控えましょう


🔸アロマ
好きな匂いは気分を落ち着かせてくれます。特に柑橘系の匂いは気も巡らせてくれるのでオススメです


🔸適度な運動
運動は、ストレスで滞った気血水を巡らせることができる


🔸お風呂にゆっくりつかり、体を温める
入浴も、ストレスで滞った気血水を巡らせくれます

 


ストレスにさらされていると、体の不調が起こりやすくなります。そして、長期間続けば重大疾患につながる可能性もあります。日頃から養生や漢方薬でストレスをうまく回避して、気持ち晴れやかに元気に過ごしましょう(^^)


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

漢方でむくみ予防


『漢方でむくみ予防』

「朝起きると顔、手がむくんでいる」
「夕方になると足がむくむ」
「歳のせいか、よく足がむくむ」
というお話を店頭でよく聞きます。

主な原因は


🔹長時間の立ち仕事
🔹デスクワークで座りっぱなし
🔹脂物、甘い物、味の濃い物のとりすぎ
🔹冷え
🔹加齢に伴う水代謝の悪化(尿の出が悪いなど)
など

 


気血水が巡っていると、むくみが生じにくいです。しかし、上述のような運動不足、または偏った食事/冷え/加齢による血の巡りの悪化(瘀血)や体を害する粘りのある水(痰湿)が生じている状態では、むくみが起こりやすくなります。

また、”女性の足のむくみ”は、ふくらはぎの筋肉量が少なく、血流を上に戻す力が弱いため、血管から漏れ出た水分が溜まりやすいですので、筋力をつけるなどのケアが必要になってきます。

 


では、むくみに使う漢方薬の一例をご紹介します。

<漢方薬>


五苓散(ごれいさん)
ノドの渇きを訴え、小便の出が悪く、体の水の配分が崩れてのむくみに


茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)
五苓散の症状に加え、湿熱を持つことで胸のつかえ、吐き気、下痢を伴うむくみに


防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
ぽっちゃり水太り傾向で下半身にだるさを伴うむくみに


当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
冷え性で、かつ血水の巡りが悪化してのむくみに


牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
下半身の冷えが強く、小便の出が悪く、体の水の配分が崩れてのむくみに(高齢者に多い傾向があります)

 


※体の状態に併せて、上記の漢方薬をベースに、血や水の巡りをより良くする漢方薬を併せて使っていくことが多いです。

 


つぎに養生をご紹介します。

<養生>


🔸ウォーキングなどの適度な運動を毎日行う
外へ出ての運動ができない場合は、お部屋で「かかと上げ」をするなどオススメです。
🔸脂物、甘い物、味の濃い物を控える
🔸水の巡りをよくする食材を摂るようにする
とうもろこし、春雨、大根、冬瓜、きゅうり、緑豆、きのこ類など
🔸お風呂にしっかりつかる
🔸体を冷やさない

 


自分の生活習慣を振り返り、まず、できていないところの養生から実践してください。そして、継続することがとても大事ですよ(^^)

本ページが、少しでもむくみ予防に役立てば幸いです。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

夜になるとでてくる不調に


『夜になるとでてくる不調に』

相談を受けていると
「夜になると不調がでてくる」と、お話される方がおられます。

その中でよく挙がる、3つの症状があります。


①痛み
特徴は、痛みの場所は固定で、刺すような痛みが起こる


②ほてり、発熱
特徴は、手足がほてる、顔がほてる、夕方くらいから微熱がでる、寝汗が出るなど


③不安になる(不安感)
血液検査などで貧血傾向にあったり、少食または偏食の方に多いです

 


上記症状に対して、漢方視点で主な原因を挙げると


①は、瘀血(おけつ)。血の巡りが悪い状態
②は、陰虚(いんきょ)。熱を抑える栄養を含む潤いが少ない状態
③は、心血虚(しんけっきょ)。血が十分量なく、特に血の中に鉄分などミネラルが不足している状態

 


原因がわかれば、漢方薬と養生の出番です(^^)

<漢方薬>
一例を示します。


①瘀血(おけつ)による痛みには
血の巡りを良くする活血薬で対応します。
【注意】ほてり、のぼせ、出血傾向にある時は避けた方が良い漢方薬があります。また、痛みの部位により漢方薬が変わりますので、必ず専門家に相談してください。


冠元顆粒(かんげんかりゅう)
血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
疎経活血湯(そけいかっけつとう)

 


②陰虚によるほてり、発熱には
潤いを増やす滋陰清熱薬で対応していきます。
【注意】漢方薬を服用しても回復に月単位の時間がかかります。あせらずじっくり取り組むことが大事です。


瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
六味丸(ろくみがん)

 


③心血虚による不安感には
脾(いちょう)を整え、栄養の吸収を改善し、血を補う生薬が配合されている漢方薬で対応していきます。


桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
天王補心丹(てんのうほしんたん)
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
逍遙顆粒(てんのうほしんたん)

 


次に養生を示します。


<養生>


・体を冷やさない
冷たい飲食物は極力避ける。
冷房の部屋にいる方は、衣服で防寒を


・十分な睡眠をとる。日付が変わる前には就寝を
眠れないと言われる方が多いですが、横になっているだけでもよいです。


・バランスの摂れた食事を行う
ミネラル不足が多いので、わかめ、こんぶ、ひじきなどの海藻類は積極的に摂りましょう。


・深い深呼吸でリラックス(不安が生じる方)
吸った時間の倍の時間で息を吐くと良いです
例えば、5秒で吸って、10秒かけてゆっくり息を吐く
副交感神経が優位になり、体全体に血流が流れやすくなる


・不安を他の人に話す(不安が生じる方)
家族、友達など信頼できる人に不安になっていることを話しましょう


夜になるとでてくる不調は、これまでの悪い生活習慣が積み重なり生じていますので、漢方薬を服用しながら養生をしっかり実践しましょう(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂