ぐるぐる回転性の目眩への漢方


『ぐるぐる回転性の目眩への漢方』

前回に引き続き目眩のお話です。
相談で多い2タイプの目眩のうち、今回は「ぐるぐる回転性の目眩」の原因と対策(漢方薬と養生)をご紹介します。

相談時、回転性の目眩(めまい)


🔹横になって寝ていても、グラグラ揺れている
🔹ぐるぐる、自分が回っている様
🔹周りが回っている様
🔹上下左右様々な方向へ動く


などと表現されるお客さんが多いです。

漢方では、以下に挙げることから、水の巡り(水の代謝)が悪くなり、頭部に水が滞り、回転性の目眩が生じると考えます。水滞証(すいたいしょう)と言ったりします。


🔹短時間での過剰な水分補給
🔹冷たい飲み物での水分補給
🔹日頃から胃腸虚弱で水巡りが悪い
🔹甘い物、味の濃い物の摂り過ぎ
🔹仕事等で尿の回数が少ない
🔹ほとんど動かず、発汗しない

 


それでは、回転性の目眩(めまい)に対して使う漢方薬をご紹介します。

<<漢方薬>>


◆ぐるぐる回転性の目眩のファーストチョイス

『沢瀉湯(たくしゃとう)』✨


利水作用をもつ沢瀉と白朮の2味で構成されており、滞りの原因と成っている余分な水巡らせ、不要な水を尿で排出することにより目眩を楽にしてくれます。


また、めまい以外に症状が伴う場合は、次のような漢方薬を併用して使うことがあります。


◆胃腸虚弱(胃もたれ、ゲップ、慢性下痢、食欲不振など)を伴う場合
沢瀉湯 + 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)


◆冷えを伴う場合
沢瀉湯 + 真武湯(しんぶとう)

 


次に、目眩(めまい)を起こしにくい体作りの養生をお伝えします。
<<養生>>


🔶過剰な水分補給は控える
一汁三菜で食事が摂れていれば最低限の水分は補給できています。
※大量の発汗をまねく過度な運動、労働をした場合は水分補給は必要です


🔶1日の尿量、尿の回数が適切か確認する
いつものように水分は摂っているが、いつもより尿量、尿の回数が少ない場合は
水分の排出を心がけてください。


例えば)
・利尿作用のある温かい緑茶などを飲む

・適度な発汗で水分を排出する
適度に汗をかく運動をする、またはゆっくり入浴など
気血水のすべての巡りがよくなりますのでオススメです(^^b


🔶胃腸を整えましょう
温かい食べ物をよく噛んで、腹八分目で


🔶甘い物、味の濃い物の摂り過ぎない
水の偏りが生じて、巡りが悪化しやすくなります。特に甘いジュースなどの飲み物で水分補給をするのは極力控えましょう。

 


今回取りあげたぐるぐる回転性の目眩は、生活に支障をきたすと思います。
頻繁に起こるようでしたら、一度ご相談ください。


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

ふわふわ浮遊感を伴う目眩への漢方


『ふわふわ浮遊感を伴う目眩への漢方』

目眩(めまい)は1年を通して多い相談案件です。ただ、湿気が伴う今からの季節に相談が増える目眩のタイプが2つ


◆ふわふわ浮遊感を伴う目眩
◆ぐるぐる回転性の目眩


です。今回は「浮遊感を伴う目眩」その原因と対策(漢方薬と養生)をご紹介します。来週は、「ぐるぐる回転性の目眩」のお話をします。

では本題に入ります。
まず、浮遊感を伴う目眩とは・・・


🔹ふわふわと浮いている感じ
🔹ベッドの上を歩いてる感じ
🔹雲の上を歩いている感じ
🔹回転ではない。フワッとする感じ


と表現されること多いです。


漢方では、体にとって病的な水(湿)が滞ることで、水の巡りが悪くなり、頭部に水の偏りが生じて、それが目眩を誘引すると考えます。


水の滞り、偏りが起こる原因の一例は以下。


🔹冷たい飲食物をよくとる
🔹脂物、甘い物、味の濃い物の摂り過ぎ(偏食)
🔹アルコールの摂りすぎ
🔹栄養に偏りがある(貧血気味、カルシウム不足)
🔹雨の天候(低気圧に影響を受ける)


それでは、浮遊感を伴う目眩で使用する漢方薬の一例をご紹介します
<漢方薬>


◆ふわふわ目眩のファーストチョイス

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

胃腸を整えかつ利水作用をもつ茯苓、白朮で水の巡りを良くし、桂皮で温めて頭部への血行をよくすることで目眩を楽にしてくれます。

 


また、目眩(めまい)に痰湿以外の原因が伴う場合は、次のような漢方薬を併用して使うことがあります。一例を示します。


◆血不足を伴う場合

苓桂朮甘湯 + 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

※注意:血不足の改善には、食養生も含めて数ヶ月以上かかりますので、めまい改善にも時間がかかります

 


◆冷えを伴う場合

苓桂朮甘湯 + 乾姜甘草湯(かんきょうかんぞうとう)

体の中心をより温めてくれます

 


◆カルシウム不足を伴う場合(耳石はがれ等、耳石の不調が目眩の原因になります)

苓桂朮甘湯 + カルシウム補給 <-漢方薬ではありませんがとても重要です

 


次に、目眩(めまい)を起こしにくい体作りの養生をお伝えします。
<<養生>>


🔶脂物、甘い物、味の濃い物を控える
甘い物、味の濃い物は摂りすぎると、体は、血の濃度を調整するため、血管内に水が必要となり、水の偏りが起こりやすくなります。


🔶冷たい飲食物を極力摂らない
気血水の巡りが悪くなり、水が滞りやすくなります。


🔶適度な飲酒と休肝日をもうける
過度な飲酒は利尿作用で水分が通常より多く出てしまいます。またアルコールの分解に水をたくさん使うので、水分バランスが崩れやすくなります。お酒は程々に(^^;


🔶適度な運動を心がける
気血水が巡り、適度な発汗は余分な水を体から出してくれます

 


以上です。目眩(めまい)でお困りの方は、お気軽にご相談ください😊
体質をしっかり見定めて、適切な漢方薬と養生をお伝えします。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

今年は早めに湿邪対策を(^^b


『今年は早めに湿邪対策を(^^b』


5月中旬ですが、九州南部は梅雨入り。今年は、梅雨の期間が長くなるのかな?(T-T)

毎年、雨の季節は
「湿気と暑さで体の調子が悪くなりやすくなるので、特に注意が必要です」
と、店頭でよく話します。

現代は、あまり体を動かさないところへ、冷たい飲み物、食べ物を多く摂ってしまい、体の中に湿邪(内湿邪:ないしつじゃ)が生じています。(今は、1年を通して、内湿邪があると言ってもよいと考えています)

そこへ、外気の湿気や暑さの湿邪(外湿邪:がいしつじゃ)が重なると、体調を崩しやすくなり、症状が強くでます。

湿邪からくる症状を挙げてみますと


🔹倦怠感
🔹めまい
🔹軟便、下痢(粘度の高い便、臭いが強い便)
🔹食欲不振
🔹口の中がネバネバ。舌苔が厚い
🔹下半身が重い
🔹悪心、吐き気
🔹胃もたれ
🔹尿の出が少ない、尿の濁り


などです。

湿邪対策の最優先は、”生活習慣を改める養生”です。
養生ができていないと漢方薬も力を発揮できません。
まず、以下に心当たりがあれば直していきましょう。


①冷たい飲み物、食べ物の摂りすぎ
②なま物、脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎ
③運動不足(一日中座ったまま)
④汗をかかない


特に①、②を正すと、症状が改善しやすくなります。

 


次に漢方薬の一例をご紹介します。


◆倦怠感、めまい、軟便、下痢、食欲不振
勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
柴苓湯(さいれいとう)

 


◆冷たい飲食物を摂りすぎての腹痛、下痢、軟便
人参湯(にんじんとう)
大建中湯(だいけんちゅうとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)※

※小児または高齢者に使うことが多いです

 


◆悪心、吐き気、胃もたれ
健胃顆粒(けんいかりゅう)
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
加味平胃散(かみへいいさん)

 


◆尿の出が少ない、尿の濁り
瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)
五苓散(ごれいさん)
猪苓湯(ちょれいとう)

 


以上です。
雨の時期、体調を崩しやすいという方は、ご紹介した養生と漢方薬で元気に乗り切りましょう。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂