冬の関節痛対策


『冬の関節痛対策』

寒さが本格的になり、腰や膝など、関節の痛みを訴える相談が増えています。
関節痛の原因は色々ありますが、この時期は、寒さ(寒邪)湿(湿邪)の影響によることが多いです。

漢方の視点だと、寒湿邪が気血の流れを阻害し関節痛が起こると考えます。

秋、冬の寒さからくる「寒邪」は、凝滞(ぎょうたい)の性質を持ちます。
体の中では、寒さで気血水の流れが滞り、関節部への滋養と老廃物の回収が円滑に行われなくなり、それが痛みとなって現れてきます。

次に「湿邪」(体に害を及ぼす病的な水)。秋、冬の乾燥時期なのに”なぜ湿邪?”と思われるかもしれません。
乾燥時期でも体に湿邪は侵襲してきます。というより、自分で摂り入れていると言ったほうが正しいかもしれません。そう、主に飲食物が原因です!!

寒さで体をあまり動かさなくて、代謝が落ちているところへ、甘い物、脂っこい物、甘い清涼飲料水、生もの、冷たい飲食物をを摂りすぎていると体に「湿」が溜まります。
湿邪は、重く下へ停滞する特徴があり、関節に湿が溜まることで痛みが現れます。

 


それでは、寒湿邪が原因の関節痛への漢方薬をご紹介します。
<<漢方薬>>


 風寒湿邪が原因の関節痛のベースは
 五積散(ごしゃくさん)


 冷えがより強い時(腰痛など上半身)
 五積散 + 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)


 冷えがより強い時(膝など下半身)
 五積散 + 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)


 加齢などで筋肉、骨が弱っているときは
 五積散 + 独歩顆粒(どっぽかりゅう)


 血のめぐりが悪さ(瘀血)が強い時
 五積散 + 疎経活血湯(そけいかっけつとう) or 地竜(じりゅう)

 


次に養生をご紹介します。

<<養生>>


◆体を冷やさない
 ->患部を冷やさない。衣服等でしっかり保温
 ->ストレッチや適度な運動を※
 ->温かいお風呂にしっかり入る

 ※無理のない範囲で運動。例えば膝痛で歩けない時は、座りながらできる運動を行う


◆甘い物、脂っこい物、甘い清涼飲料水、生もの、冷たい飲食物を控える

 


上記、漢方薬と養生で少しでも関節痛が緩和されると幸いです(^^)
関節痛のご相談では、適切な漢方薬と運動などの養生も一緒にお伝えしております。お気軽にご相談ください。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

漢方で寒暖差に負けない体作り


『漢方で寒暖差に負けない体作り』

過ごしやすい季節になってきました。
ただ10月は、”朝晩の気温差”や”月の上旬と下旬の気温差”が大きい時期です。
寒暖差に体が追いつかず、不調がでやすくなる時期でもあります。

 


この時期、季節の変わり目の寒暖差で不調が起こるという方の相談を受けていると、2つのタイプが多いと感じています。


気血不足タイプ
日頃から、疲れやい、過労や病後で体力が低下している、胃腸が弱い、貧血気味、冷え性などでエネルギー(気)と栄養(血)が不足している


瘀血(おけつ)タイプ
偏った食事、運動不足、ストレスが多いなどで瘀血(血行不良)が起こり、栄養が体へ巡らず、五臓の機能が低下してしまっている

 


では、それぞれのタイプ別に漢方薬と養生をご紹介していきます。

<漢方薬>


気血不足タイプ


麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)
健胃顆粒(けんいかりゅう)
当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
心脾顆粒(しんぴかりゅう)

 


瘀血タイプ


冠元顆粒(かんげんかりゅう)
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけいついんだいいちかげん)
血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

 


<養生>
2つのタイプで共通する養生をはじめにご紹介します。


🔸冷たい飲食物は控え、温かい物を摂る

🔸十分な睡眠。日付が変わる前に就寝を

🔸毎日の入浴で、血行促進とリラックス

🔸毎日、適度な運動を。座りっぱなしは避ける


次に食養生をタイプ別にご紹介します。


気血不足タイプにおすすめの食材


にんじん、かぼちゃ、ネギ、ニラ、にんにく、黒ごま
イモ類(じゃがいも、さつまいも、里芋、山芋)
マメ類(納豆、枝豆、そら豆)、味噌
きのこ類(しいたけ、えのきだけ、しめじ)
鶏肉、豚肉、牛肉、レバー <-摂りすぎには注意
栗、りんご


瘀血タイプにおすすめの食材


玉ねぎ、ネギ、にんにく、にんにくの芽
ナス、あずき、黒豆、らっきょう、紫蘇
青魚(さんま、いわし、あじ、さば)
海藻類、黒酢、サフラン


ご紹介した漢方薬は、気血不足でも不調の内容によって変わりますので、来店時にお尋ねください。適した漢方薬をご提案致します。

さあ、今からでも遅くありません。漢方薬と養生の実践で、寒暖差に負けない体作りを目指しましょう(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

食欲不振の漢方薬


『食欲不振の漢方薬』

食欲不振と言っても原因は様々。ただ、相談をしていると、だいたい3つの原因による胃腸機能の低下に分類されるんです。


(1)過労、大病後、長く病気を患っている、少食などによるエネルギー不足(気虚)
(2)ストレス(気滞)
(3)偏食、間食、水分のとりすぎ(痰湿)


※原因は1つではなく、重なっていることの方が多いです。

因みに、暑さでの食欲不振は上記の(1)、(3)が原因であることが多い。(1)の場合は、もともとエネルギー不足のところへ、暑さで代謝が上がり、よりエネルギー不足で胃腸を動かすことができずに食欲不振になる。(3)の場合は、冷たい飲食物の摂り過ぎにより胃腸機能を低下させての食欲不振になります。


原因が特定できて、問診でその方の体質などがわかってくれば漢方薬はおのずと決まってきます。
では、食欲不振に対する代表的な漢方薬の一例をご紹介します。


<漢方薬>


健胃顆粒(けんいかりゅう)または香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
上述の3つの原因をすべてカバーするので、食欲不振のファーストチョイスで提案する漢方薬です。
痰湿、気虚、気滞のいずれかが強く出ている場合は、本剤をベースにして、各原因を補足する漢方薬を足していきます。


◆補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
体力が落ちて虚弱な状態で食が細くなっている人の食欲不振に


◆柴芍六君子湯(さいしゃくりっくんしとう)
ストレスが原因で、みぞおちあたりのつかえを感じているような食欲不振に


◆加味平胃散(かみへいいさん)
前に食べた物が残っているような食の滞りの胃もたれ、胸焼けなどでの食欲不振に


勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)または藿香正気散(かっこうしょうきさん)
梅雨や夏場の湿度が高い暑い時期に、水や生もの摂り過ぎによる食欲不振に。
気分が悪い、ひどい時は嘔吐の症状を伴うことがあります。

 


次に食欲不振予防の養生をご紹介します。

<養生>


🔸温かい、消化の良い食べ物を腹八分目で

🔸脂っこい物、甘い物、味の濃い物、辛い物を摂りすぎない

🔸冷たい飲み物と一緒に食事を摂らない

🔸寝る3時間以内に間食はしない。

🔸体力低下、疲労蓄積の方は、休養をこころがける

🔸水分補給はほどほどの量で

 


食欲不振は、体を動かすエネルギー、体を作り/修復する材料が入ってこなくなることを意味します。長引けば、様々な不調のきっかけになり、または、今の不調をより悪化させてしまいます。

食欲不振が起こった時は、早めの対応が大切です。また、日頃から食欲不振にならないよう、養生を実践することが大事です(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂