その漏れ症状!!原因は気の不足


『その漏れ症状!!原因は気の不足』

相談で聞く”漏れ”に関連する症状は色々あります(^^)

漢方では、”気(き)”には留める力(固摂作用)があり、気が不足すると留める力がなくなり、血、水が漏れると考えます。気の不足が原因で起こる症状には、不正出血、寝汗、尿もれ、頻尿などがあります。


◆不正出血の場合
脾の気の不足(脾気虚:ひききょ)という状態のときによく起きます。イメージをつかみやすく言うと、胃腸が長く弱っている状態です。脾の気が不足すると、統血作用(血管に血を留める力)が低下します。なぜ血管から血が漏れてしまうかというと、胃腸機能低下で栄養が十分にとれていない(または栄養に偏りがある)と、毛細血管を支える物質が適切に作られないため、もろくなり出血しやすくなります。


 例えば、
 ・女性の場合だと、生理での出血がダラダラと長期間止まらない
 ・男女問わず打ち付けてもいないのにアザができる
 ・血尿がよく出る(健康診断の尿検査でよく血尿を指摘される)


◆寝汗の場合
寝ている時に汗をびっしょりかいてしまう寝汗は、気の不足から汗を調整している体表の筋肉が緩み漏れてしまうことで起こります。補足ですが、寝汗が続くと、眠りの質を下げる為、十分に体が休まらず、気の不足をより加速させます。早めの対策が肝要です。


◆尿もれ、頻尿の場合
気の不足によって排尿に関連する筋肉が適切に機能しない。


例えば、気の不足から
・膀胱から尿が漏れないよう絞める筋肉が弱まり緩む
・膀胱の筋肉の伸縮性が弱まり、尿を十分に蓄えることができない
・膀胱の筋肉の伸縮性が弱まり、尿を全部出しきれないで残る
など


また、気の不足により温める力(温煦作用)も低下するので、膀胱の筋肉が冷えて伸縮性が低下し、蓄える力、押し出す力が弱まり、頻尿を招きやすくなります。

 


それでは、漏れに関する漢方薬と養生をご紹介しています。
気の不足が根本原因です。よって、気を補う生薬をメインにし、併せて栄養補給、温め、止血、胃腸機能改善などが考慮された漢方薬を使っていきます。


※経験則ですが、ご紹介する漢方薬と養生を実践しても、回復には月単位の時間がかかることがほとんどです


<漢方薬>


◆不正出血
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
帰脾湯(きひとう)
猪苓湯(ちょれいとう) <-血尿の場合


◆寝汗
衛益顆粒(えいえきかりゅう)
玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)


◆頻尿、尿もれ
八味地黄丸(はちみじおうがん)
六味丸(ろくみがん)
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
亀板製剤

 


<養生>


🔶過度な仕事、勉強、運動は避ける
🔶十分な睡眠をとる
🔶胃腸に優しい食事を
 温かい物、消化の良い物を摂り、腹八分目で
🔶食べる物はバランスよく、偏りなく
🔶冷たい飲み物と一緒に食事をしない

 


気の不足は、徐々に悪化するため、なかなか気づきにくいです。過労、不眠、偏食、少食などが長く続いていないか生活を振り返って頂き、心当たりがあれば、できるところから養生を実践してみてください(^^b

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

漢方で寒さ対策


『漢方で寒さ対策』

数日前から一気に熊本は寒くなりました。
そこで、今回は冬場の寒さに対する漢方薬と養生をご紹介したいと思います。

漢方で寒さは寒邪(かんじゃ)ととらえ、外寒(がいかん)内寒(ないかん)の2種類があります。

外寒は、冬の寒さやクーラーなどで、外から侵入してくる寒さのこと。寒い冬の外や、職場で寒い環境に長時間いることにより、外寒に侵されます。余談ですが、寒邪は風邪を伴って体へ入ってくることが多いです。

内寒は、体の中から発生する寒さです。体を温めるエネルギー不足から冷えを生じる状態を言います。体内の冷えは、臓器の働きを弱め、さまざまな不調をもたらします。内寒は、慢性的に虚弱な方、病後で体力が落ちている方、高齢者、長期間過度なダイエットの方などに多いです。

漢方薬では、温性の生薬(桂枝、乾姜、附子、呉茱萸、鹿茸、紅参など)を主に使い、体を温め、冷えを追い出します。

それでは、代表的な漢方薬をご紹介します。


<<漢方薬>>


◆慢性的な冷え(陽虚)


霊鹿参(れいろくさん)
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)


◆手足先の冷え


婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)


◆冷えた飲食物を取ってしまった時の腹痛


人参湯(にんじんとう)
附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう) <- 小児用


◆冷えからくる頻尿


八味地黄丸(はちみじおうがん)
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

 


次に養生をご紹介します。


<<養生>>


🔸温かい衣服で防寒を
特に風邪が侵入しやすい首、手首、足首を寒さから守りましょう


🔸お腹周りをカイロで温める
内寒で熱を作り出すことが弱っている状態の時はカイロで熱を補いましょう。
次の2箇所にカイロを貼ることをオススメします。
腹側 へその下あたり
背側 お尻の上、仙骨あたり
※カイロを長く貼付することでの低温ヤケドにはご注意ください


🔸冷たい飲食物は、極力控える
体の外を防寒していても、体の中に冬を作ってしまったら台無しです。温かい食べ物を摂り、体の中も冷やさないようにしましょう。


🔸体を温め陽気を養う食材を摂る
にら、ねぎ、しょうが、にんにく、しそ
かぼちゃ、山芋、きのこ類、大豆製品、えび、羊肉、紅茶、シナモンなど


🔸温かいお風呂にしっかり入る
温かいお風呂に入ると気血水が手先足先まで巡るので、冷えに効果的です。


🔸適度な運動を行う
体を動かせる方は、少し息が上がるくらいの運動を1日30分くらいできると良いです。お風呂と同じで、気血水が手先足先まで巡り冷えに効果的です。

 


寒い冬を温かく乗り切るために上記の漢方薬と養生がお役立てれば幸いです(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂