『ノドの痞(つか)えがとれない時の漢方』
相談で「ノドが痞(つか)えているような感じがする」という話をよく受けます。
病院へ行き、胃カメラで検査し、何も痞えている物は無いことを確認したとお話くださるお客さんもおられます。
古くからこのような症状を
「梅核気(ばいかくき)」:梅の種が喉に痞えているような感じがする状態
「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん):肉の塊が喉に痞えているような感じがする状態
などと呼んでいます。
いずれもノドの異物感があって痞えた感じがすることを言い表しています。
ちなみに、ノドだけでなくノドからみぞおちあたりまでを指して痞え感を訴える方もおられます。
この痞えの症状、原因は、主にストレスであることが多いです。
漢方の視点でどのようにノドの痞えが発症したのかを説明します。
まずストレスが長期間続くと肝が傷つきます。肝は気の流れをコントロールしていますが、うまく機能しなくなり、気が滞ります(気滞)。気の推動力で血や水を動かしますが、気が滞ると水も滞ります(水滞)。水の滞りは、主に胃部で体を害する水(痰飲)を発生させます。この痰飲によって、吐き出すことも飲み込むこともできず、ノドからみぞおち辺りで痞えを感じるようになります。
原因がわかれば漢方薬で対応できます。
ポイントは、体の寒熱で漢方薬が変わる点です。寒熱を判断するのは舌や胃部の状態を見ます。
<漢方薬>
舌苔が白く厚い、またベットリしている時もある(体が寒に傾いている)
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
舌苔が黄色く厚い、またベットリしている時もある(体が熱に傾いている)
温胆湯(うんたんとう)
お腹がゴロゴロなり、下痢軟便がち、口臭(寒と熱、どちらもある)
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
他にも使う漢方薬はありますが、まず上記を目安にしてみてください。
判断が難しいと思う場合は、お店で専門家に状態を話して選んでもらうと良いです(^^)
次に養生です。
<養生>
🔸ストレスを溜めない、発散する
クヨクヨ考えてしまいどうしてもストレスを溜めてしまう人は、何かに集中すると良いです。
例えば、趣味に没頭、お友達と話す、好きなテレビ/映画を見るなど
🔸入浴と適度な運動
滞った気血水を巡らせるのに最も簡単な方法が入浴と運動(^^)
🔸夜に考え事はせず、早めに寝る
夜は頭を滋養する力が落ちてきているので、答えがでずに悪い方へ考えがちになります。
ノドの痞え症状が出てしまっている時は漢方薬で対応しますが、ノドの痞えがなるべく出ないような体へもっていく養生がより重要です。上記の漢方薬と養生で、すこしでもノドの痞えが改善し、発症頻度が少なくなれば幸いです(^^)
<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。
熊本 菊陽町 菜の花漢方堂