体質別養生法 第3回 ~陽虚~


『体質別養生法 第3回 ~陽虚~』

今回は、体質別養生紹介の3回目です。
取り挙げる体質は、『陽虚(ようきょ)』です。
陽虚は、前々回お話した気虚をベースに、もっと体が弱った状態を指します。
体の中の作り出す力、変える力が無くなってきているので、次のような症状が起こりやすくなります。



🔹体全体が冷える。手足、腰が冷える(熱を作り出す力の低下)
🔹基礎体温が低い。平常時の体温が35℃台(熱を作り出す力の低下)
🔹下痢しやすい(消化吸収という変える力の弱り)
🔹頻尿(主に冷えからくる、膀胱筋肉の柔軟性の低下から起こる)
🔹足腰がすぐにだるくなる(老廃物の代謝が弱くなることで起こる)
🔹生理があったり、なかったりする(ホルモン産生に乱れが生じる)


などの症状を訴えるのが特徴です。

 


<養生>
養生は、気虚体質と一緒です。回復には気虚より時間を要します。(経験則ですが、回復期間は、半年から年の単位)


🔶十分な睡眠(休養)をとる
過度な仕事、勉強、運動は控えましょう


🔶胃腸に優しい食事を摂る


温かくて消化の良い物
食べる物はバランスよく
食べる量は腹八分目
冷たい物、脂っこい物は控える
冷たい飲み物と一緒に食事をしない


🔶オススメ食材


イモ類(山芋、さつまいも、じゃがいも、里芋)
かぼちゃ、きのこ類(えのき、しいたけ、しめじ)
卵、大豆、お米、
肉類(牛肉、羊肉、鶏肉)※


※消化力が落ちている時は、肉類は無理にとる必要はないです。摂る時は、細かく柔らかく調理して消化に負担をかけないようにしましょう。

 


次に陽虚体質に使う漢方薬の一例をご紹介します。
<漢方薬>
陽虚は、エネルギー不足で、作り出す力弱っており、胃腸から栄養を吸収する力も弱っています。よって、胃腸をケアしながら、動物生薬を主に使って回復を目指します。陽虚までくると、養生と漢方薬の併用をお勧めします。


◆胃腸機能が低下し、痩せ始めている
参馬補腎丸(じんばほじんがん)
帰脾湯(きひとう)
健脾散エキス顆粒(けんぴさんえきすかりゅう)
山楂子製剤(さんざしせいざい)

 


◆気血水を作り出す力が弱っている
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)
参茸大補丸錠(さんじょうだいほがんじょう)
霊鹿参(れいろくさん)
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
亀板製剤(きばんせいざい)


※血をめぐらせる、推動力も弱っているので活血剤を併用することがある
冠元顆粒(かんげんかりゅう)

 


陽虚の立て直しは、年単位。とても時間がかかります。養生を継続し、ゆっくり、しっかり、回復をはかることが大切です。
上述の漢方薬は一例です。他にも色々ありますので、ご相談ください(^^b

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

『体質別養生法 第2回 ~血虚~』


『体質別養生法 第2回 ~血虚~』

朝夕、少しだけ暑さが和らぎ、秋の気配を感じますね。
暑さ寒さも彼岸までと昔から言われているので、ここから過ごしやすい時期になってくれるといいですね。

今回は、体質別養生紹介の2回目です。
取り挙げる体質は、『血虚(けっきょ)』です。
血虚は、言い換えると血不足です。血の不足から次のような症状がでてきます。



🔹めまい、立ちくらみ
🔹顔の血色が悪い
🔹眠りが浅い
🔹情緒が不安定
🔹PMS、イライラ、落ち込み
🔹足がつりやすい
🔹肌が乾燥しやすい
🔹便秘気味(乾燥便)
🔹目が疲れやすい


など

 


血虚(けっきょ)の場合は、養生を続けることが何より大切です。また、漢方薬は養生と併用することで、回復のスタートダッシュをお手伝いできます。


<養生>


🔶脾を整え、しっかり食べる
鉄分だけでなく、タンパク質、ミネラル、ビタミンなどをバランスよく摂ること


🔶過度な仕事、勉強、運動は程々に
ウォーキングなど、ちょっとした運動はOKです


🔶十分な睡眠をとる


🔶目を酷使しない
スマホ、パソコン、高輝度テレビの長時間視聴など


🔶過度なダイエットは控える


🔶オススメ食材
人参、小松菜、ほうれん草、トマト、黒豆、小豆、黒ごま、鶏肉、レバー(牛・豚・鶏)、プルーン、レーズン、イチゴ、桃、クコの実


※消化力が落ちている時、肉類は、細かく柔らかく調理し、消化に負担をかけないようにしましょう。

 


次に血虚体質に使う漢方薬の一例をご紹介します。


<漢方薬>
は、血が少ないが根本原因ですので、血を作って増やせば、上述でいくつか挙げた症状は改善してきます。漢方で補血(ほけつ)という治方です。


◆血を補う
 婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
 参茸補血丸(さんじょうほけつがん) <-血を作る力が弱い時
 心脾顆粒(しんぴかりゅう) <-情緒が不安定。気分の落ち込みがある時、または不眠がある時
 芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん) <-血の巡りの悪さがある時


 <併用剤>
イライラが強い時
 逍遙顆粒(しょうようかりゅう)


 ・強い便秘がある時
 大黄製剤(大黄甘草湯、潤腸湯など)


 ・目の疲れがひどい時
 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
 石決明製剤(せきけつめいせいざい)


 ・足がよくつる時
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

 


”血虚”の立て直しは、体に変化を感じるのに数ヶ月要することが多いです。養生を継続し、焦らず、どっしりかまえて回復に取り組みましょう。
上述の漢方薬は一例です。他にも色々ありますので、ご相談ください(^^b

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

体質別養生法 第1回~気虚~


『体質別養生法 第1回~気虚~』

二十四節気の白露を迎え、夜が涼しくなり、日中の暑さも和らいで、秋の気配が深まり始める頃・・・のハズなんですが、まだまだ日中は30℃超えで、秋の気配が感じにくいですね(^^;

さて、これから7回にわたって、体質別の養生法を紹介していきます。

漢方では、7つのタイプに体質を分けて※、タイプにあった養生法と漢方薬などで、体の立て直しをしていきます。


※体質は、1つの体質だけではなく、2つ以上のタイプが合わさっていたりもします。

 


今回は、ご紹介するのは、『気虚(ききょ)』
イメージをもって頂くために、気虚を言い換えると”エネルギー不足の状態”を指します。



🔹冷えやすい
🔹手足が冷える
🔹疲れやすい
🔹風邪を引きやすい
🔹下痢をしやすい
🔹食が細い
🔹汗をかきやすい


などの症状を訴えるのが特徴です。

気虚(ききょ)の場合は、養生を継続的に実践し、漢方薬も併用して体を回復させていくと良いです。

<養生>


🔶十分な睡眠(休養)をとる
過度な仕事、勉強、運動は控えましょう


🔶胃腸に優しい食事を摂る
温かくて消化の良い物
食べる物はバランスよく
食べる量は腹八分目
冷たい物、脂っこい物は控える
冷たい飲み物と一緒に食事をしない


🔶オススメ食材
イモ類(山芋、さつまいも、じゃがいも、里芋)
かぼちゃ、きのこ類(えのき、しいたけ、しめじ)
卵、大豆、お米、
肉類(牛肉、羊肉、鶏肉)


※消化力が落ちている時は、肉類は無理にとる必要はないです。摂る時は、細かく柔らかく調理して消化に負担をかけないようにしましょう。

 


次に気虚体質に使う漢方薬の一例をご紹介します。


<漢方薬>


◆疲れやすい、または疲れを感じる
麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

 


◆胃腸の調子がよくない
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
六君子湯(りっくんしとう)
健胃顆粒(けんいかりゅう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
加味平胃散(かみへいいさん)
山楂子製剤(さんざしせいざい)

 


◆風邪を引きやすいと感じる場合
衛益顆粒(えいえきかりゅう)
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

 


◆体の冷えを感じる場合
人参湯(にんじんとう)
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
鹿茸製剤(ろくじょうせいざい)
紅参製剤(こうじんせいざい)

 


”気虚”の立て直しは、少し時間がかかります。経験則では月単位で回復していく方が多いと感じています。
養生と漢方薬で焦らず体を立て直していきましょう。上述の漢方薬は一例です。他にも色々ありますので、ご相談ください(^^b

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂