ふわふわ浮遊感を伴う目眩への漢方


『ふわふわ浮遊感を伴う目眩への漢方』

目眩(めまい)は1年を通して多い相談案件です。ただ、湿気が伴う今からの季節に相談が増える目眩のタイプが2つ


◆ふわふわ浮遊感を伴う目眩
◆ぐるぐる回転性の目眩


です。今回は「浮遊感を伴う目眩」その原因と対策(漢方薬と養生)をご紹介します。来週は、「ぐるぐる回転性の目眩」のお話をします。

では本題に入ります。
まず、浮遊感を伴う目眩とは・・・


🔹ふわふわと浮いている感じ
🔹ベッドの上を歩いてる感じ
🔹雲の上を歩いている感じ
🔹回転ではない。フワッとする感じ


と表現されること多いです。


漢方では、体にとって病的な水(湿)が滞ることで、水の巡りが悪くなり、頭部に水の偏りが生じて、それが目眩を誘引すると考えます。


水の滞り、偏りが起こる原因の一例は以下。


🔹冷たい飲食物をよくとる
🔹脂物、甘い物、味の濃い物の摂り過ぎ(偏食)
🔹アルコールの摂りすぎ
🔹栄養に偏りがある(貧血気味、カルシウム不足)
🔹雨の天候(低気圧に影響を受ける)


それでは、浮遊感を伴う目眩で使用する漢方薬の一例をご紹介します
<漢方薬>


◆ふわふわ目眩のファーストチョイス

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

胃腸を整えかつ利水作用をもつ茯苓、白朮で水の巡りを良くし、桂皮で温めて頭部への血行をよくすることで目眩を楽にしてくれます。

 


また、目眩(めまい)に痰湿以外の原因が伴う場合は、次のような漢方薬を併用して使うことがあります。一例を示します。


◆血不足を伴う場合

苓桂朮甘湯 + 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

※注意:血不足の改善には、食養生も含めて数ヶ月以上かかりますので、めまい改善にも時間がかかります

 


◆冷えを伴う場合

苓桂朮甘湯 + 乾姜甘草湯(かんきょうかんぞうとう)

体の中心をより温めてくれます

 


◆カルシウム不足を伴う場合(耳石はがれ等、耳石の不調が目眩の原因になります)

苓桂朮甘湯 + カルシウム補給 <-漢方薬ではありませんがとても重要です

 


次に、目眩(めまい)を起こしにくい体作りの養生をお伝えします。
<<養生>>


🔶脂物、甘い物、味の濃い物を控える
甘い物、味の濃い物は摂りすぎると、体は、血の濃度を調整するため、血管内に水が必要となり、水の偏りが起こりやすくなります。


🔶冷たい飲食物を極力摂らない
気血水の巡りが悪くなり、水が滞りやすくなります。


🔶適度な飲酒と休肝日をもうける
過度な飲酒は利尿作用で水分が通常より多く出てしまいます。またアルコールの分解に水をたくさん使うので、水分バランスが崩れやすくなります。お酒は程々に(^^;


🔶適度な運動を心がける
気血水が巡り、適度な発汗は余分な水を体から出してくれます

 


以上です。目眩(めまい)でお困りの方は、お気軽にご相談ください😊
体質をしっかり見定めて、適切な漢方薬と養生をお伝えします。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

今年は早めに湿邪対策を(^^b


『今年は早めに湿邪対策を(^^b』


5月中旬ですが、九州南部は梅雨入り。今年は、梅雨の期間が長くなるのかな?(T-T)

毎年、雨の季節は
「湿気と暑さで体の調子が悪くなりやすくなるので、特に注意が必要です」
と、店頭でよく話します。

現代は、あまり体を動かさないところへ、冷たい飲み物、食べ物を多く摂ってしまい、体の中に湿邪(内湿邪:ないしつじゃ)が生じています。(今は、1年を通して、内湿邪があると言ってもよいと考えています)

そこへ、外気の湿気や暑さの湿邪(外湿邪:がいしつじゃ)が重なると、体調を崩しやすくなり、症状が強くでます。

湿邪からくる症状を挙げてみますと


🔹倦怠感
🔹めまい
🔹軟便、下痢(粘度の高い便、臭いが強い便)
🔹食欲不振
🔹口の中がネバネバ。舌苔が厚い
🔹下半身が重い
🔹悪心、吐き気
🔹胃もたれ
🔹尿の出が少ない、尿の濁り


などです。

湿邪対策の最優先は、”生活習慣を改める養生”です。
養生ができていないと漢方薬も力を発揮できません。
まず、以下に心当たりがあれば直していきましょう。


①冷たい飲み物、食べ物の摂りすぎ
②なま物、脂物、甘い物、味の濃い物の摂りすぎ
③運動不足(一日中座ったまま)
④汗をかかない


特に①、②を正すと、症状が改善しやすくなります。

 


次に漢方薬の一例をご紹介します。


◆倦怠感、めまい、軟便、下痢、食欲不振
勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
柴苓湯(さいれいとう)

 


◆冷たい飲食物を摂りすぎての腹痛、下痢、軟便
人参湯(にんじんとう)
大建中湯(だいけんちゅうとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)※

※小児または高齢者に使うことが多いです

 


◆悪心、吐き気、胃もたれ
健胃顆粒(けんいかりゅう)
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
加味平胃散(かみへいいさん)

 


◆尿の出が少ない、尿の濁り
瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)
五苓散(ごれいさん)
猪苓湯(ちょれいとう)

 


以上です。
雨の時期、体調を崩しやすいという方は、ご紹介した養生と漢方薬で元気に乗り切りましょう。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

5月病は、肝の弱りが原因かも


『5月病は、肝の弱りが原因かも』
4月から新しい仕事、生活環境になった方は、そろそろ慣れきた頃でしょうか?
世間一般に言う5月病の症状は、ゴールデンウィーク(以下:GW)明けくらいから出てきます。


症状の例
🔹やる気がでない
🔹眠れない
🔹朝が起きれなくなった
🔹疲れやすくなった
🔹情緒が不安定(気分が落ち込む、またはイライラ)
🔹仕事、学校に行きたくない

 


そこで、5月病にならないために、漢方視点での原因と解決策をご紹介します。


<原因>
環境の変化に対して心と体が対応できない状態が長期に続くと、肝という臓が影響を受けます。は、”伸び伸び”を好むという特徴がありますが、環境の変化で精神的ストレス、物理的ストレスで肝が抑えられると弱ります。は、疏泄(そせつ:自律神経のようなもの)を担うので、が弱ると乱れます。
が弱ったときの典型的な負のスパイラル例を以下に示します。


①肝が弱り、疏泄(そせつ:自律神経のようなもの)乱れる
②脾が弱り(胃腸機能低下)、食欲不振。栄養不足が生じる
③気血(エネルギー、血)が産生力が低下し、肝を含む五臓を滋養できなくなる



<漢方での解決策>
漢方で5月病にどのように対応していくかというと


養生  7割
漢方薬 3割


のバランスで改善を試みます。

とにかく生活の乱れからの影響が大きいので、なにより養生(生活の改善)が最優先です。


<養生>


🔶3度の食事をとる
特に朝食は抜かない。朝食を菓子パン、栄養ドリンク、栄養ゼリーなどに頼らない


🔶食事はバランスよく食べる

🔶ジュース、お菓子などの甘い物を極力控える

🔶冷たい飲食物は極力さける

🔶十分な睡眠


🔶ストレスを解消
趣味、スポーツ、お友だちとおしゃべりなど、自分の時間を作って、ストレスを解消しましょう。
ただし、睡眠を削るのはNGですよ(^^)

 


次に回復を早めるために漢方薬をご紹介します。


<漢方薬>


◆食欲不振
イスクラ 健胃顆粒(けんいかりゅう)
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
救心感應丸 氣(きゅうしんかんのうがんき
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)


◆疲れやすい
イスクラ 麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)
能活精(のうかっせい)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)


◆イライラ、腹部膨満感
逍遙顆粒(しょうようかりゅう)
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
四逆散(しぎゃくさん)


◆不眠
イスクラ 温胆湯(うんたんとう)
イスクラ 心脾顆粒(しんぴかりゅう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

 


「心身一如」と言って、心と身体は表裏一体で影響し合います。5月病のほとんどは、生活の乱れから身体(最初に)が弱り。その弱りが心の病(情緒不安定、やる気がでない)を誘引します。よって、漢方では、養生と漢方薬で体を回復させることで、心の病の回復に良い影響を及ぼします。
本ページが、5月病の回復に役立てていただけたら幸いです。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂