痔(ぢ)は早めに漢方で治そう


『痔(ぢ)は早めに漢方で治そう』

相談でお話を聞いていると、痔は症状が出ていても我慢されている方が多いです。相談に来られたときは、かなり症状が悪化していることが・・・。漢方薬や養生で適切に対応することで、痔の悪化を防ぎ、回復を早め、回復後の予防へとつながりますので、今回は、痔の中でも相談が多い”いぼ痔”と”切れ痔”についてお話していきたいと思います。

まず、痔(いぼ痔、きれ痔)がどういったものか説明します。



いぼ痔は、肛門にある歯状線より内側にできたものを内痔核、歯状線より外側にできたものを外痔核と言います。肛門付近および直腸付近にある細い静脈のうっ血(血の滞り)で起こります。
よって、


🔹座りっぱなしの仕事
🔹便秘で排便時に強くいきむ
🔹お酒の飲みすぎ
🔹辛い物、甘い物、脂っこい物の摂りすぎ


などの方によく起こります。

次に切れ痔は、例えば固くなった便が排出されるときに肛門の上皮部分が裂けたり切れたりして起こります。そのため、慢性便秘をお持ちで、排便時に強くいきむ方に多いです。

基本的に本人は、患部を見たり触ったりできないので、外に出ているいぼ痔以外は状態の把握は難しいです。ただ、出血や痛みが出てきましたら、速やかに対応することで悪化を防ぎ、回復を早めることができます。


【注意】40代以降の肛門からの出血は、大きな病気が隠れている可能性があります。一度、かかりつけの医者へ受診することを強くお勧めします。


次に、漢方視点で痔の原因は、


🔹肛門付近の血液の流れが悪くなった状態:瘀血(おけつ)
🔹お酒の飲みすぎ、辛い物、甘い物、脂っこい物の摂りすぎにより、湿熱(体に病的な水が熱をもった状態)が肝、大腸を傷めた状態:肝胆・大腸湿熱(かんたん・だいちょうしつねつ)


と考えます。

尚、漢方でも、痔の大きな原因となる便秘は深く考慮します。便秘は、ストレス、食べ過ぎ、加齢で排便の力が弱いなど、様々な要因が考えられます。よって、その方に併せて対応していきます。

 


では、これらを踏まえて、痔に対しての漢方薬と養生をご紹介します。

<<漢方薬>>

症状にあわせて以下に挙げた漢方薬を服用して症状の改善を図りながら、その方の生活習慣から起こっている状態を改善する漢方薬を併用します。その一例として便秘の改善を挙げています。


◆痛み、腫れを伴う時


乙字湯(おつじとう)

麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

 


◆痛み、腫れ、出血を伴う時


槐角丸(かいかくがん)

 


◆痔の症状に加えて


痒みが有る時

消風散(しょうふうさん) を合方


便秘がある時(以下を合方)
便秘は、上述したストレス、食べ過ぎ、加齢などにより、使う漢方薬は変わります。一例を挙げますが、適切な漢方薬を選ぶ必要があります。専門家に相談することをお勧めします。


大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)

調胃承気湯(ちょういじょうきとう)

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

潤腸湯(じゅんちょうとう)

麻子仁丸(ましにんがん)

 

 


<<養生>>


🔶お酒はほどほどに
🔶辛い物、甘い物、脂っこい物を控える
🔶水溶性の食物繊維が多い食材を積極的にとる
 さといも、山芋、ジャガイモ、オクラ、きくらげ、こんにゃく、小豆
 わかめ、こんぶ、メカブ、ひじきなどの海藻類
 りんご、いちご、プルーン
 など
🔶座り仕事の人は、1時間に1回は立って適度な運動で臀部の血行を促進する
🔶毎日、お通じがあるよう生活習慣を整える

 


痔でお困り、または家族や友達が困っているなどありましたら、ぜひこのページを参考にしていただけたらと思います。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

いぼ痔、切れ痔、痔ろう

<痔の種類>
痔には、いぼ痔(痔核)切れ痔(裂肛)あな痔(痔ろう)の3種類があります。



<いぼ痔>
いぼ痔は、内痔核と外痔核に別れます。
専門的に言うと肛門にある歯状線より内側にできたものを内痔核、歯状線より外側にできたものを外痔核と言います。
内痔核は内部でわかりづらいですが、外痔核(外にできるいぼ痔)は、見えるのでわかりやすいですね。
いぼ痔は、肛門付近および直腸付近にある細い静脈のうっ血で起こります


・座りっぱなしの仕事
->物理的に肛門付近の静脈を圧迫するので、うっ血を起こし、いぼ痔に
・便秘で排便時に強くいきむ
->いきむときに細い静脈の流れが止まり、うっ血が起こりやすく、いぼ痔に
・お酒の飲みすぎ、辛い物、甘い物、脂っこい物の摂りすぎ
->肛門付近にある細い静脈は、心臓や門脈通じて肝臓とつながっており、肝臓に負担をかける食事をしていると肝臓への血液の流れが滞りうっ血しやすくなりいぼ痔に

 


<切れ痔>
切れ痔は、肛門の皮膚が切り裂けた状態を言います。
便秘で排便時に強くいきみ、固くなった便が排出されるときに肛門の上皮部分が裂けたり切れたりして起こります。

 


<あな痔(痔ろう)>
痔ろうは、直腸が細菌により炎症や化膿を起こし、膿がたまります。進行していくことにより、トンネルができて外部の肛門周囲とつながってしまった状態を言います。免疫力の低下、血行不良が原因と言えます。


中医学の観点から言うと以下が原因と捉えます。


1)瘀血
肛門付近の血液の流れが悪くなった状態

2)肝胆・大腸湿熱
お酒の飲みすぎ、辛い物、甘い物、脂っこい物の摂りすぎにより
湿熱(体に病的な水が熱をもった状態)が肝、大腸を傷めた状態

3)気虚
血液の推動力低下及び、睡眠不足、過労等々での免疫力低下


漢方で「痔(ぢ)」の対処をする時は、血行を良くしながら、肝臓、大腸の改善をはかります。但し、出血を伴っている時は、止血を優先させます。

漢方薬の一例を紹介致します。


◆痛み、腫れを伴う時

乙字湯(おつじとう)

麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

 


◆痛み、腫れ、出血を伴う時

槐角丸(かいかくがん)

 


◆痔の症状に加えて、痒みがある時

消風散(しょうふうさん) を合方

 


◆痔の症状に加えて、便秘がある時
乙字湯が便秘もケアしていますが、回復しない時は、便秘用の漢方薬を合方します。以下に漢方薬の一例を挙げていますが、体質、便の状態等によって使う漢方薬は変わります。必ず専門家と相談して適切な漢方薬を選んでください。

大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)

調胃承気湯(ちょういじょうきとう)

潤腸湯(じゅんちょうとう)

麻子仁丸(ましにんがん)

 


<養生>
痔の回復は、日頃の養生が何より大事です。漢方薬を服用しながら、


・お酒を控える
・辛い物、甘い物、脂っこい物を控える
・座り仕事の人は、頻繁に立って適度な運動で血行促進する
・しっかり睡眠と休息をとる


ことを意識して、回復を目指していきましょう。

 

繰り返しになりますが、痔の早期回復と再発防止は、生活習慣の改善にかかっています。

生活習慣を見直して、痔にならない体作りをしていきましょう(^^)

本ページが、痔を患っている方の力に少しでもなれたら幸いです。

 


<注意事項>
1)痔ろうの場合は、病院にて適切に膿を取り除いてもらい、つながったトンネルをまず塞ぐことを優先して下さいとお話ししています。
漢方薬は、病院での処置後の回復や手助ける。または血行を良くする、便秘改善等で、痔瘻を悪化させないという補助的な使い方をされると良いと思います。

2)本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談して適切な漢方薬を購入し服用してください。


熊本県 菊陽町 菜の花漢方堂

座り過ぎにご注意!!

<徒然養生>



座り過ぎにご注意!!

お仕事で長い時間座るという方

血の巡りの悪化による
痔、むくみ、エコノミークラス症候群などの症状を引き起こしやすくなるので気をつけて下さい。

日々の養生としては


・座りながら適度に下半身ストレッチ
・適度な運動(ウォーキング)
・温かいお風呂につかって血流改善


などがオススメ!!

仕事上、どうしても長座になり、運動、ストレッチができないという方

血の巡りを良くする漢方薬(活血薬)の助けを借りるのも1つの方法です。

ただ、活血薬は種類が様々ありますので、お店でお尋ね下さい。症状、体質にあう活血薬をご提案致します(^^)


熊本 菊陽町 菜の花漢方堂