寒暖差に負けないための漢方


『寒暖差に負けないための漢方』

酷暑の夏、そして残暑の初秋を過ぎ、やっと爽やかで過ごしやすい時期になってきました😊
でも油断は禁物。
1年で寒暖差が激しい月の1つが10月です。
気象庁のデータで、熊本市の10月の気温を確認すると


10月 旬ごとの気温(2023年)
上旬 日平均 21.7℃(最高27.0℃ 最低17.3℃)
下旬 日平均 16.2℃(最高23.3℃ 最低10.1℃)


日平均の気温差に注目すると、上旬と下旬で約5℃も低下します。
季節の変わり目は、よく体調を崩すと店頭で話される方がいます。この温度差に体が対応できないことが大きな要因の1つです。

漢方の視点でみても、この季節に体調を崩しやすい体質があります。この大きな気温差に対応できない体質で、


それは
”気血不足(きけつぶそく)”の体質
です。


※他にも体調を崩しやすい体質はございますが、その中でも多いものを挙げています


気と血は、身体を温めるなどの体温調節作用を持ちます。よって、気血不足状態では、寒暖差に対応できず体が冷えてカゼを引いてしまったりします。また、激しく変わる気温差へ対応するために、気血をいつもより消耗するため、体力が低下し、疲れやすくなったり、食欲不振なども起こってきます。


では、気血不足をケアし、秋の寒暖差に負けない身体づくりを手伝う漢方薬の一例と養生をご紹介していきます。


<漢方薬>
気血不足は、なんといっても脾胃(胃腸)を整えることが大事です。胃腸を整え、十分な栄養を体に取り込むことで気血不足が解消されます。


◆主に胃腸を整えて気血不足をケア
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)
人参湯(にんじんとう)
山査子製剤(さんざしせいざい)


◆血不足が強い場合を以下を単独、または上に列挙した漢方薬と併用
イスクラ 婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)
イスクラ 参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
イスクラ 心脾顆粒(しんぴかりゅう)
イスクラ 麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)

 


<養生>


🔶食事は、腹八分目で消化の良い温かい物をバランスよく食べる


【オススメ食材】
米、山芋、さつまいも、里芋
かぼちゃ、人参、ほうれん草、小松菜、
玉ねぎ、ニラ、ネギ
大豆類(味噌、納豆、豆腐など)
きのこ類(しいたけ、えのき、しめじ)
鶏肉、卵など


🔶冷たい飲食物は極力避ける


🔶お風呂は、入浴し体の芯まで温める


🔶日付が変わる前に就寝し、十分な睡眠をとる


🔶過労は避ける


🔶適度な運動を、できれば毎日
ストレッチでも良いです。習慣化して続けましょう

 


気血不足の解消で、季節の変わり目の寒暖差に強い身体づくりをすると、冬の寒さにも強くなりますよ(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

 

唾液(だえき)は健康のバロメーター


『唾液(だえき)は健康のバロメーター』

口腔ケアのお話は、テレビやインターネットでよく耳にします。漢方でも口腔ケアは、健康を維持するうえで大事な要因と考えます。特に唾液は、体の調子を反映するバロメーターであるため、唾液に関する質問は相談でもよくします。

ちなみに漢方で唾液は、津液(しんえき:血液以外の体内の水液)に属し、涎(よだれ)唾(つば)に分けて考えます。


は、涎(よだれ)
は、唾(つば)


と深く関連します。


脾が弱ると気血水を体に留める力(固摂作用:こせつさよう)が弱くなるので、口から涎(よだれ)がでやすくなります。いわゆる唾液過多です。加えて、体の芯(脾を含む)が冷えることでも、脾が弱るため、口中に唾液が増えます。


腎が弱ると、潤いの不足、水の巡りの悪化が起こり、唾が出にくくなります。いわゆるドライマウスです。ドライマウスは、乾燥で細菌が増え、虫歯、歯周病になりやすくなります。高齢者ですと、唾液の減少で飲み込みにくくもなるため、細菌の繁殖も含め、誤嚥性肺炎の原因になります。


整理すると、唾液は、多すぎても少なすぎても体に害を及ぼすため、唾液が適切な量でることは、健康にとって欠かせないものです。

では、唾液が多い場合、少ない場合に対して漢方薬の一例をご紹介します。
<漢方薬>


◆脾が弱っての唾液過多


弱っている脾を立て直すことで、涎を留める力を取り戻す
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
イスクラ 健胃顆粒(けんいかりゅう)


体の芯(脾を含む)が冷えをとり、涎を留める力を取り戻す
人参湯(にんじんとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)


◆腎が弱っての口渇


腎の弱りを立て直し、潤いを補うことで、口中の潤いを取り戻す

イスクラ 八仙丸(はっせんがん)
イスクラ 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
イスクラ 瀉火補腎丸(しゃかほじんがん) <- ほてりが強い場合


<養生>


🔶胃腸に負担をかけない
暴飲暴食、冷たい物の飲食、刺激物の食べ過ぎを避ける


🔶体の冷えを防ぐ
温かい衣服、入浴、就寝時は布団で体を温め、冷やさない


🔶十分な睡眠をとる
慢性の寝不足は、腎を傷め弱らせます。日付が変わる前に就寝しましょう


🔶ドライマウスの方は、耳下腺、顎下腺、舌下腺をマッサージして唾液を促しましょう(それぞれ、優しく10回程押してマッサージましょう)
食事前に行うと、唾液がしっかりでて、消化を助け、飲み込みやすくなりますよ(^^b



男女とも、40代以降になると口腔トラブルが増加します。口の唾液をケアすることで、口腔トラブルを防ぎ、健康維持を心がけましょう。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

子午流注(しごるちゅう)で、不調知らずの体づくり!!


『子午流注で、不調知らずの体づくり!!』

「子午流注(しごるちゅう)って、何?」と思われる方、多いと思います。

子午(しご)は時刻のこと、流注(るちゅう)は気血の流れを指しています。もう少し説明すると、気血の流れで活発になる体の臓腑を、時刻にあてはめて表したものです。二千年前の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」には、子午流注に沿った生活を行うことで、体が健康に保たれることが書かれています。

 


さて、漢方相談で色々な不調を聞いていると、この子午流注で守れていないポイント(時間帯)が共通しています。今回、この守れていないポイントの4つと、なぜ改善しないといけないのかをお話したいと思います。


<不調者に多い、子午流注の守れていないポイント>
①夕食が遅い
②寝る直前までテレビやスマホを視聴
③日付が変わってから就寝
④朝食を食べない


※相談で受ける不調のほとんどが、上の4つのどれかに該当します。因みに、全部該当という方も多い(^^;

 


①「夕食が遅い」は、17時~19時(腎)が守られていない


腎は、精(せい)と呼ぶ生命エネルギーを蓄える臓です。
この時間に精の元になる食べ物をとり、補給することで、これから朝までに体で行われる体の修復、疲労回復などが十分できるようになります。
よって、夕食が遅いと補給が遅れ、体を回復する時間に必要な栄養が間に合わず、翌朝に疲れが残ってしまいます。また、夕食が遅く就寝までの時間が十分にとれていないと、就寝中も胃腸が動くため、睡眠の質が低下し、これも体の回復を妨げます。

 


②「寝る直前までテレビやスマホを視聴」は、21時~23時(三焦)が守られていない


三焦は、気や水が流れる経路のことです。
寝る前の三焦の時間にリラックスして副交感神経を優位にすることで、体の末端まで、くまなく気血水がいきわたり、寝付きが良くなり、睡眠の質を高めます。
逆に、寝る直前まで脳を刺激し交感神経優位な状態を保つと、血管が収縮し気血水がすみずみまで行き渡わらず、脳も覚醒状態のままなので、睡眠の質が低下します。①と同様、体の回復を妨げます。

 


③「日付が変わってから就寝」は、23時~1時(胆)、1時~3時(肝)が守られていない


胆は消化器官であるとともに精神活動に関わる臓腑。そして、肝は、血の貯蔵と疏泄(そせつ:自律神経の機能)を司る臓腑と考えます。
23時~3時に質の高い睡眠ができると、精神状態を健康に保ち、肝臓で産生された栄養分で体の滋養、回復が行われます。また肝臓での解毒も活発に行われ、次の日にほとんど疲れが残りません。
逆に、この時間帯に睡眠がとれないと、体の疲れが抜けず、次の日に強い疲労、倦怠感が残りやすくなります。加えて、精神状態も悪化し、集中力が低下したり、怒りやすくなったり、反対に不安や鬱々した状態にもなりやすくなります。

 


④「朝食を食べない」は、7時~9時(胃)が守られていない


胃は、皆さんご存知の消化を司ります。
朝の胃が活発になる時間帯に食事を摂ることで、これから活動に必要な栄養を消化吸収し、体全体に栄養が届けます。特に脳が活動モードに入り、体内時計もリセットされますので、最高の一日のスタートがきれます。パフォーマンスも上がりますよ。
逆に朝食が摂れていないと体も脳も活動状態に入れないので、パフォーマンスが下がります。
加えて、朝食でしっかりタンパク質が摂れていないと、夜の睡眠を促すメラトニンが不足しますので、睡眠の質を悪化させます。

 


今回、漢方薬をご紹介していませんが、上記が実践できていると漢方薬を頼る頻度も減り、また漢方薬を使う場合でも良い結果が得られる傾向にあります。
まずは、上記の子午流注の4ポイント(時間帯)を実践していただき、不調になりにくい体づくりの一助になれば幸いです(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂