暑い時期に増える食欲不振への漢方


『暑い時期に増える食欲不振への漢方』

梅雨や夏の暑い時期は、食欲不振を訴える方が増えます。

食欲不振の原因を漢方視点で捉えると、以下に示すおおよそ3つに分類できます。


(1)冷たい物、なま物、水分のとりすぎ、または間食が多い(痰湿:たんしつ)
(2)ストレス(気滞:きたい)
(3)過労、大病後、長く病気を患っているなどでエネルギー不足(気虚:ききょ)


暑い時期、上記(1)が影響して、食欲不振を起こすことが多いです。
(1)に関してもう少し理由を補足します。


冷たい物が多い:胃腸は低温で正常に動かず、消化吸収がうまく行えず、栄養不足となります。栄養不足が続くと、胃腸を正常に動かすことができなくなり、食欲不振となります。これが続けば、負のスパイラルを生み出し、食欲不振が続きます。


水分が多い:大量の水分で消化液が薄くなり消化能力が低下。かつ常温の水分は胃腸を冷やすため、上述の冷たい物と摂りすぎと同様の負のスパイラルが発生し、食欲不振になります。


間食が多い:胃腸が掃除される時間を作れないため、胃腸が汚れ、胃腸機能が低下し、食欲不振を招きます。

 


漢方で上記(1)~(3)が原因の食欲不振を正す時は、養生がなにより重要です。そして、漢方薬は、最初の回復を手伝う程度であることをご理解ください。

では、食欲不振改善の養生をご紹介します。


<養生>


🔸温かい、消化の良い食べ物を腹八分目で。かつよく噛んで食べる


🔸冷たい飲み物と一緒に食事を摂らない


🔸寝る3時間以内に間食はしない


🔸水分補給は、ほどほどの量で
人肌以上の温かい飲み物で水分補給をしてください。
※常温の水は約15~20℃くらい。体温の約半分。たくさん摂れば、体を冷やします。


🔸体力の著しい低下、過労、疲労蓄積の方は、休養をこころがける
十分な睡眠をとることを優先してください

 


<漢方薬>


◆食欲不振(冷たい飲食物の摂り過ぎで胃が冷えていると感じている時)
・藿香正気散(かっこうしょうきさん)


胃腸の冷えがより強い時は以下の併用をオススメ
・安中散(あんちゅうさん)
・人参湯(にんじんとう)
・大建中湯(だいけんちゅうとう)

 


◆食欲不振(体を動かしていないのに、水分を多く摂りすぎかなと感じる時)
・加味平胃散(かみへいいさん)
・藿香正気散(かっこうしょうきさん)
・香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)

 


◆食欲不振(消化力が落ちて、胃もたれを感じる時)
・山楂子製剤(さんざしせいざい)
・加味平胃散(かみへいいさん)

 


◆食欲不振(ストレスもあると感じる時)
・柴芍六君子湯(さいしゃくりっくんしとう)
・開気丸(かいきがん)

 


◆食欲不振(エネルギー不足)
・麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)


消化力が落ちているなと感じる時は以下の併用がオススメ
・山楂子製剤(さんざしせいざい)

 


食欲不振は、体を動かすエネルギーや、体を作り/修復する材料が入ってこなくなることを意味します。よって、長引けば、他の重大な不調の招きます。食欲不振だと感じたら、悪化する前に養生と漢方薬で早めに対応しましょう(^^)

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

潤い不足は夜に不調が起こりやすい!?


『潤い不足は夜に不調が起こりやすい!?』

夜(夕方以降)に不調が出てくるというお話が相談であります。
漢方で夜は、陰の時間帯。陰は、ただの水分だけでなく、体内の血、栄養なども全て含む液体を指します。


※気血水で言うと、血と水が陰に属します。


ちなみに、陰(血、水)が減った状態を陰虚(いんきょ)と言います。

陰虚が原因で夜に起こる症状の代表を3つ挙げますと


①痛み
特徴は、痛みの場所は固定で、刺すような痛みが起こる


②ほてり、発熱
特徴は、手足がほてる、顔がほてる、夕方くらいから微熱がでる、寝汗が出るなど


③不安になる(不安感)
少食または偏食の方に多く、また、血液検査の結果では、貧血があり、貯蔵鉄が不足していると指摘される方が多い。


です。

上記症状に対して、漢方視点で主な原因を挙げると以下です。


①は、陰虚瘀血(いんきょおけつ)。血の巡りが悪い状態です。通じざれば則ち痛みが生じます。
②は、陰虚火旺(いんきょかおう)。熱を抑える栄養を含む潤いが少ない状態です。体を冷ますことができずにほてり、渇きなどを生じます。
③は、心血虚(しんけっきょ)。血が十分量なく、特に血中の鉄、亜鉛などのミネラル分が不足している状態です。精神的に不安定になりやすくなります。

 


原因がわかれば、漢方薬と養生でケアしていけます(^^)
<漢方薬>


①陰虚瘀血(いんきょおけつ)による痛みには
血の巡りを良くする活血薬で対応します。


【注意】血が少ない方は、補血薬を同時に使います。また、ほてり、のぼせ、出血傾向にある時は避けた方が良い漢方薬がありますので、必ず専門家に相談してください。


冠元顆粒(かんげんかりゅう)
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
疎経活血湯(そけいかっけつとう)


併用する補血薬
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
四物湯(しもつとう)
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

 


②陰虚によるほてり、発熱には
潤いを増やす滋陰清熱薬で対応していきます。


【注意】漢方薬を服用しても回復に月単位の時間がかかります。あせらずじっくり取り組むことが大事です。


瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
六味丸(ろくみがん)
加味逍遙散(かみしょうようさん)

 


③心血虚による不安感には
脾(胃腸)を整え、栄養の吸収を改善し、血を補う生薬が配合されている漢方薬で対応していきます。


心脾顆粒(しんぴかりゅう)
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
天王補心丹(てんのうほしんたん)
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
逍遙顆粒(てんのうほしんたん)


併用する胃腸を整える漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
六君子湯(りっくんしとう)
参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)
山楂子製剤(さんざしせいざい)

 


次に養生を示します。


<養生>


🔶バランスの摂れた食事を行う
ミネラル不足が多いので、わかめ、こんぶ、ひじきなどの海藻類は積極的に摂りましょう。


🔶冷たい飲食物は極力避ける
冷たい飲食物は、体を冷やすだけでなく、消化吸収、及び栄養を体に行き渡らせることを阻害します。


🔶十分な睡眠をとる。日付が変わる前には就寝を


🔶深い深呼吸でリラックス(夜、不安、心配が生じる方)
吸った時間の倍の時間で息を吐くと良いです
例えば、5秒で吸って、10秒かけてゆっくり息を吐く
副交感神経が優位になり、体全体に血流が流れやすくなる


🔶不安、心配事を他の人に話し、不安、心配を和らげる
家族、友達など信頼できる人へ、不安になっていることを話しましょう。
聞いてもらえるだけで心が安心します。

 


夕方以降に起こる不調は、今までの悪い生活習慣が積み重なり生じている可能性が高いです。漢方薬を服用しながら養生を実践しましょう(^^)
回復には時間がかかります。漢方薬も養生も、焦らず続けることが大事です(^^b

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂

よろずの病は気の乱れから!!


『よろずの病は気の乱れから!!』

漢方のお話には、陰陽血水という言葉がよく出ます。

人体の構成を陰陽で見ると、エネルギーのような目に見えないものを陽。体の目に見える部分を陰と捉えます。血水を陰陽にあてはめると、が陽に属し、血水は陰に属します。よって、体の半分(50%)をが担っています。

そのため、の乱れは、病気の発端や原因になります。昔から”百病生於気(すべての病は気より生じる)”とも言われているほどです。

の乱れの種類も色々ありますが、当店の相談で多い代表例の上位3つ挙げると以下です。


◆気虚(ききょ)証
長引く過労や食欲不振から、元気が不足、臓腑の機能低下、免疫力低下などが起こった状態を指します。疲れ回復しずらい、倦怠感、朝起きれない、胃腸の弱り(胃もたれ、下痢、軟便)、カゼを引きやすい、冷え症、気力がわかないなどが代表症状


◆気滞(きたい)証
気は巡っているのが正常なのですが、この巡りが滞った状態を指します。現代では、ストレスから気の滞りが起こることが多いです。他にも、体外の風寒湿邪も気滞の原因にもなります。情緒が不安定(怒りっぽくなったり、過度な心配性/不安性)、頭痛、腹部や脇の脹痛、月経不順、つかえ(のど、胸、胃)、便秘、下痢などが代表症状


◆気逆(きぎゃく)証
気は流れる方向が決まっているのですが、その流れが逆になった状態を指します。咳、喘息、しゃっくり/ゲップがよく出る、嘔吐、吐血、頭痛、めまい、のぼせなどが代表症状

 


気虚、気滞、気逆で使う漢方薬が変わってきます。以降に紹介していきます。


<漢方薬>


◆気虚


疲れ、倦怠感
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)
活寿内服液(かつじゅないふくえき)
参茸大補丸錠(さんじょうだいほがん)


胃腸虚弱、かつ冷え
附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)


胃腸不調(胃もたれ、消化不良)
山楂子製剤(さんざしせいざい)


気に加え、血も消耗(虚している)
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

 


◆気滞


イライラからの脹痛
四逆散(しぎゃくさん)


情緒変動からくる腹痛、脇の脹痛、胸のつかえ
開気丸(かいきがん)


情緒変動からくる胃腸虚弱、消化不良、食欲不振
柴芍六君子湯(さいしゃくりっくんしとう)


痞え(のど、胸のつかえ)
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)


情緒変動からくる月経不順、いらだち、精神不安
逍遙顆粒(しょうようかりゅう)
加味逍遙散(かみしょうようさん) <-のぼせ


便秘
通導散(つうどうさん)

 


◆気逆


咳、喘息
平喘顆粒(へいぜんかりゅう)
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)


しゃっくり、ゲップ
開気丸(かいきがん)


のぼせ
七物降下湯(しちもつこうかとう)


めまい
釣藤散(ちょうとうさん)

 


上述の漢方薬で、気の乱れを整えて、元気に暑い時期を乗り切りましょう(^^b
※養生は、今回省略しております。

 


<注意>
本ページで掲載している漢方薬は一例です。
個人の体質、その日の体調、生活習慣、生活環境などにより使う漢方薬は変わります。
漢方の知識を持った専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談し、適切な漢方薬をご購入ください。

熊本 菊陽町 菜の花漢方堂